「手前勝手世界食物語、第233話」

「焼き肉」
初めて行った店だった。建て替え中の歌舞伎座の裏にある店「炭蔵」だ。その売りは「七輪ホルモン・冷麺」ということだが、実はこの店の本店は私の住んでいるマンションから1km位離れたところにある有名店なのだ。そこでホルモンを数種類食べたが、これが柔らかくて本当に美味しかった。上ミノも美味かった。炭火の入った七輪の上で焼くのだが、上から垂らされたパイプの空気穴から煙がどんどん吸い込まれていって、店内も全く煙くない。だが、この味はなんだ?こんなに美味いホルモンを食べたことがなかった。これが正に「目から鱗」と言う訳で年明け早々にまた行ってしまった。安くて美味いこんないい店があったとは本当に目から鱗でした。
以上、東京から勢古口がお送りしました。

「木挽町」

江戸古地図を見てみよう。今の銀座三原橋から東側、昭和通りを越えて歌舞伎座を過ぎると高速道路がある辺りがその昔は「木挽町」と呼ばれていた細長い町で、そこは江戸時代は大名屋敷が連なっていた。今建設中の歌舞伎座は「諏訪 稲葉」と書かれているから大名の「稲葉諏訪守」の上屋敷だったのだろう。面白いものだが江戸時代の地図と今の地図と基本的には同じなのだ。当たり前のことだが、昔の道路や火除け地や川を利用して今の道路が造られているから、そうなるのだ。木挽町も1丁目から7丁目があり、銀座とほぼ対をなしている。だから歌舞伎座は木挽町4丁目ということになるのだ。「グーグル」の地図には東京版だけは古地図も合わせて観ることが出来るらしいが、私は古地図を手にしながら東京の町並みを歩くほうが楽しい。

映画

映画「私だけのハッピーエンディング」(東劇にて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年1作目)
キャリアウーマンの女性が大腸がんで余命僅かと告げられた。その直前、夢の中で神様に会う。神様は3つの願いを叶えてあげるという。一つ目は空を飛ぶこと、二つ目は100万ドル欲しいということ、そして三つ目は?果たして彼女は本当に死んでしまうのか?死と向き合う女性の心情を描く。

映画「天井桟敷の人たち」(日比谷みゆき座にて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年2作目)
戦後すぐのフランス映画だ。多分18世紀のパリ、無言劇を演ずる一座とその人たちの物語だが、愛と憎しみと貧困と差別が渦巻く世界を描く。3時間10分という長編だが流石名作でした。

歌舞伎観劇「新春大歌舞伎」(新橋演舞場にて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年1回目)
歌舞伎18番「矢の根」、「連獅子」、「神明惠和合取組 め組の喧嘩」。伝統の歌舞伎だが、いつもながら勉強になりました。

日経新聞1月6日夕刊「シネマ万華鏡」の評価によれば、「哀しき獣」が4つ星、「運命の子」が3つ星、「ニューイヤーズイブ」が3つ星、「ルドルの泉」が3つ星、「宇宙人ポール」が3つ星、「マジック・ツリー」が3つ星、「琉神マブヤー」が3つ星でした。

「シノプスシ156」
本「侍の大儀」(稲葉 稔 著) 角川文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年1冊目)「酔いどれて候」シリーズ5作目
元幕臣の浪人新兵衛は酒びたりの生活だ。だが周囲の人たちのために人肌脱ぐことになる。

本「吹花の風」(井川香四郎 著) 講談社文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年2冊目)「梟与力吟味帳」シリーズ12作目
大岡越前の懐刀藤堂逸馬らが活躍するシリーズ。

本「やる気のない刺客」(佐藤 雅美 著) 角川文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年3冊目)「町医北村宗哲」シリーズ1作目
元はごろつき同然だったが今は町医者として活躍している宗哲が生きる江戸の世相を描く。

「箱根駅伝」

正月3日に恒例の通り、箱根駅伝を観に行った。日本橋高島屋前の中央通りは両側共に沢山の観客で二重三重の人出となっていた。先頭の東洋大学アンカーの斉藤選手が苦しげな顔をしながら一瞬で走り去っていった。毎年必ず観にきているのだが、この駅伝と言うのは本当に劇的な展開になることがあるので、思わず見入ってしまう。急ブレーキが掛かり走れなくなる選手が出たり、今年もタイムオーバーで襷が繋がらなくなったりと、「事実は小説より奇なり」を正に現していると思う。ハプニングを期待して観ている訳ではないが、何が起きるか分からないドラマを観ているのと同じ気持ちにさせられることに間違いない。来年もきっと正月2日3日は箱根駅伝を観ているのだろう。

「救急車と歩行者」
数寄屋橋交差点はスクランブル交差点だ。歩行者が歩いている時にサイレンを鳴らして救急車が侵入してきた。すると歩行者は救急車を避けるでもなく、その前を歩いて行く。この感覚はなんなんだろう。更に信号が変わりそうだと走り出して救急車の直前を通過する者までいる。これはどういうことなんだろう。救急車が目に入らない訳でもないだろうに、自分のことを優先して、緊急車輌を無視するというのはどういうことなのだろか?私には理解出来ない。この感覚は自転車の運転にも通ずる。自転車に乗っている人も緊急車輌の無視ではなくて、歩行者を無視する。だから事故が起きるが、起きても悪いと思わない。この感覚はなんなんだろうか?救急車にもし自分ないし自分の身内が乗っていて命の危機に晒されているとしたらどうするのだろうか?歩行者に文句言わないか?自転車にぶつかられて怪我をしたら怒らないのか?「自分だけよければいい」という公共道徳の欠如は一体何がもたらせたのか?教育なのか、家庭なのか、それとも?

墓参り

「J REPORT 2012 1月第2週号」
「リタイアメント・ノート 3年目7ケ月目」 「VOL.720 SINCE AUG. 12th、1983」
「墓参り」
毎年恒例だが、正月には必ず青山墓地に墓参りに行く。今年は娘夫婦と孫も加わった。長男夫婦も参加したが、次男だけは不参加。それでも一家揃って墓参りに行けることはありがたいことだ。最近の青山墓地の墓は洋風というのか、横長い墓石が多くなり、「墓誌」も大半が横長になっている。我が家の墓は父が存命の頃に建て替えたので、昔風の当たり前の縦長の御影石だ。

「家族会」
横浜は東横線沿線の白楽駅近くの実家に正月2日一族が集まった。ここは今は妹家族が住んでいるが、元々は亡くなった父と母が住み着いた場所だ。私も生後1年目から就職するまで、ここで暮らした。妹夫婦とその子供たちと婿さん、私の家族は妻と長男夫婦、娘夫婦と孫娘、次男、そして私の従姉妹とその娘というメンバーだった。叔母は体調が悪いようで欠席したが、これで私に繋がる全家族といえよう。妹たちにも初孫が3月にも生まれるという。まずは目出度い、目出度い。代々使われてきた乳幼児用の風呂桶を私の娘が持って来ていて、次に使うようにと妊婦さんに渡していた。妹とは子供の頃の話しにも花が咲き、幼児時代に庭で飼っていたニワトリを絞めてもらいに行った事など懐かしく思い出した。私は熊本産の馬刺しと築地で買い求めたマグロを持参し、多いに飲んで食べて和気蛛Xの時間を過ごした。

「手前勝手世界食物語、第232話」

「生牡蠣」
帝国ビルの地下の「牡蠣専門店 JACK POT」という店に行った。メニューには国産の牡蠣が10種類以上、外国産が4種類載っていた。最初は国産品3種類を食べた。広島が2種類、北海道産1種類を食べた。その後外国産のを2種類食べた。欧米でも牡蠣は生で食べる。その他魚類を生で食べる風習のない欧米でも牡蠣は生で食べるので彼らは牡蠣は魚介類だと思っていないのだろうか?決してそんなことはないと思うが、牡蠣が美味しいというのは万国共通の認識のようだ。私もフランスのパリでも、アメリカはニューヨークでも、カナダのバンクーバーでも、オーストラリアのシドニーでも生牡蠣を食べた経験があるが、どこの牡蠣も実に美味しかった。「海のミルク」と言われる牡蠣だが、本当に素晴らしい海からの惠だと思う。昨年は津波で牡蠣の産地である宮城県等の養殖場が破壊されてしまい、宮城産の牡蠣の成育には多少時間が掛かるらしいが、また美味しい宮城産の牡蠣が食べられる日が一日も早く訪れることを願っている。
以上、新年を迎えた東京から勢古口がお送りしました。

「東京スカイツリーは634m」

昨年は建設中の東京スカイツリーが遂に最高点「634m」にまで達した。世界一の電波塔ということになるようだ。12月27日の新聞に「GDP」のランクが載っていた。「一人当たりGDP」が円高の影響もあり、日本は42,983ドルの14位に上昇したという。一応豊かさの目安となるのだろうが、主要国ではアメリカ(46,588ドル、8位)、カナダ(46,236ドル、9位)に次いでの14位でドイツ(40,123ドル、15位)、フランス(39,475ドル、17位)、イギリス(36,158ドル、18位)となっていたが、果たして実感はどうなのだろうか?中国はGDP総額では日本を上回って世界2位だが一人あたりとなると日本の10分の1程度、韓国(20,757ドル)は日本の半分以下の26位だというが、まあこれは公平な評価だろう。それにしてもトップを守り続けているルクセンブルグはどうやって稼いでいるのだろうか?ダントツの10万ドル越えには驚かされる。調べてみると一時は鉄鋼業が中心だったが、金融業にシフトした結果、欧州の金融センターとしての機狽ェ発揮されているという人口51万人の小さな国だという。立憲君主国「ルクセンブルグ大公国」が正式名称だとか。まあそれにしてもフランスとドイツの間に挟まれた小さな国なのだが、それにしても元気な国だ。この数年、よくヨーロッパに行ったが、その度に感じることは、「兎に角、働かない」と言うことだ。ラテン系は昼からは「シエスタ」だし、残業は勿論ない。彼らの考え方は「人生を楽しむ」ということだからだろうが、しかし働かなければ経済はおかしくなるのは当たり前だろう。ギリシャが公務員天国だというが、公務員は嘗ての共産圏と一緒で働かないはずだ。生産性が悪くて当たり前の世界なのだろう。だからヨーロッパには24時間営業の店などない。いかに日本のコンビニやスーパーが便利かよく分かる。それがロシアでは24時間営業をやっていたから驚いた。まあ21世紀は欧米の時代ではなくて、アジアや南米の時代になるのだろう。

「夜明け」

今、正に太陽が昇ろうとしている。「朝の来ない夜はない」と言われているが、今日もまた朝が巡ってきた。同時に月も満ち欠けをしながら地球の周りを巡っていて、これも確実に訪れてくる。しかし、少しづつ月は地球から遠ざかりつつあるという。数センチらしいが、毎年毎年地球から遠い軌道になっているという。何も確実と言うものはない。不確実、即ち卵ェ可狽ニいうものはないということなのだろう。昨年の大震災後の大津波はこれまでの我々の常識を超えていたとはいえ、過去の大津波を調べてみると同規模の大津波は1000年に一度程度づつ襲ってきていたのだという。我が国「日本」は常に自然災害に襲われ、しかしそれを乗り越えて歴史を築いてきた。破壊の度に立ち上がって復興復活してきたという歴史がある。再び我々は立ち上がらなくてはならない。そんな事を改めて誓う年だった。

映画

映画「聨合艦隊司令長官 山本五そ六」(ユナイテッドシネマ豊洲にて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年216作目)
大東亜戦争に一番反対していた山本長官の戦争突入とその最期を描く。真珠湾攻撃は失敗だったという。なぜならば敵空母が真珠湾にはいなかったからだ。またミッドウィでの大敗が戦況を決めてしまった過程を描くが、人間味溢れた姿も合わせて見せていた。

映画「ワイルド7」(ユナイテッドシネマ豊洲にて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年217作目)
荒唐無稽なお話し。犯罪者が最高検察庁の支持の元、犯罪者を殺害するというもの。彼ら7人は凶悪な犯罪者だったが、正義の味方として超法規的な立場で犯罪者を処罰する。正に荒唐無稽。

映画「永遠の僕たち」(日比谷シャンテシネにて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年218作目)
両親を交通事故で失い、自身も30日もこん睡状態になっていた青年と脳腫瘍のため余命3ヶ月の少女が出会う。二人は恋に落ち、短い日々を充実させようとする。青年には日本人の特攻隊印ひろしの幽霊が見える。こうして不思議な3人の関係が遂に少女の最期まで続く。

映画「灼熱の魂」(日比谷シャンテシネにて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★★★(今年219作目)
母親が死んだ。その遺言には双子の娘には父親を、息子には兄を探すように示されていた。母親はキリスト教徒とイスラム教徒が戦い、更に内戦になったアフリカ北部の国の出身だった。兄はイスラム教徒の父とキリスト教徒の母親の間に生まれた蔑まれた子供だった。こうして双子の娘と息子は母のルーツを探るのだが、次々と判明する事実は驚くべきものだった。おどろおどろしい事実が遂に分かる。本当に驚かされた映画だった。だが必見の映画だ。

映画「鉄道員」(日比谷みゆき座にて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★★★(今年220作目)
不朽の名作だ。イタリアはボローニャの鉄道員一家の物語だ。父親は50歳の頑固者、機関車の運転一筋の男。長男は無気力なサボり男、長女は妊娠して已む無く結婚。末っ子の少年が可愛い。この家族の1年を描くが、本当に素晴らしい作品だ。文句なし。

映画「ニューイヤーズイブ」(丸の内ピカデリーにて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年221作目)
まあ、豪華なハリウッドスターの登場だ。ニューヨークの12月31日、ニューイヤーズイブの夜に起きる出来事をいろいろな人たちを通じて描く。愛あり憎しみあり、そして新しい出会いもあり、お金を掛けた映画でした。

最後に2011年の映画で、一番良かったのは外国映画では「英国王のスピーチ」でした。日本映画では特に言うべき作品はありませんでした。

「シノプスシ155
本「天才絵師と幻の生首」(佐藤雅美著) 講談社文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年371冊目)「半次捕物控」シリーズ
岡っ引きの半次の活躍を描くシリーズ

本「ご存知大岡越前 雲霧仁左衛門の復讐」(鳴海 丈著) 光文社文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年372冊目)
八代将軍吉宗とその右腕である南町奉行大岡越前守を描く。

本「トリックスター」(濱 嘉之 著) 講談社文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年373冊目)「警視庁情報官」シリーズ3作目
警視庁情報室室長の黒田が追うのはある宗教団体。だが詐去膜藷凾ェ複雑に絡むうちに、警視庁を攻撃することが密かに進行していることを知る。果たして警視庁を守れるのか?

2011から2012へ

「J REPORT 2012 1月第1週号」
「リタイアメント・ノート 3年目7ケ月目」 「VOL.719 SINCE AUG. 12th、1983」
除夜の鐘が鳴っている。不思議な気持ちにさせる108の梵鐘だ。行く年2011年、来る年2012年、どんな年なのか?私のような凡庸な人間には分からない。
「私の2011年と2012年」
昨年2011年の行動を総括すると、映画と歌舞伎は221本と4回観たし、本は373冊読んだ。これは週に換算すると映画4.25本、本は7.17冊になる。よくもまあ観たり読んだりしたものだ。海外旅行は1月のタイ、9月の韓国、10月のドイツ、11月のロシア、12月のベトナム・カンボジアに行った。リタイアしてからの3年半の間に結論から言うと、29回の旅行で延べ50ケ国に行ったことになる。一方、国内は「大人の休日クラブ」の安い周遊券で富山八尾の「風の盆」、長野「コスモス街道」「善光寺」、福島喜多方「ラーメン」等を巡った。そして一番は何といっても「初孫」の「栞ちゃん」の誕生だろう。念願の初孫だったから。彼女は多分22世紀を観ることが出来るのだろう。私は20世紀半ばから21世紀初頭しか観られなかったが、21世紀に生まれ過ごし、そして22世紀を観てもらいたいものだ。さて、昨年も毎日歩き回った。朝の愛犬「もも」との散歩、銀座への日課となる散歩等々で10km歩くという目標を立てたし、ほぼそれを実行した。残念ながら実行できなかったのが「禁酒」だ。この課題は今年もまた続けるしかない。娘家族が住む松戸と私の自宅の距離はほぼ30kmだ。基本的には水戸街道を行くのだが、途中にある橋で常に渋滞が起きるので、脇道の発見に努力中だ。なるべく住宅街の道を通過して幹線道路を通らずに行く道を探している。
さて、2012年はどんな年になるのだろうか?私なりに卵zしてみよう。昨年が前代未聞の円高だったが、今年も同じことが続くのか?ひとえに欧州の危機がどうなるか?ということになるのだろう。ギリシャが多分空しくユーロ圏から脱落する。そしてその影響はスペイン、イタリアを襲い、ユーロ危機が再燃されるのではなかろうか?すると欧州を最大の輸出先にしている中国がおかしくなる(既にその傾向は出始めているが)。その影響は勿論日本にも向うのだが、円は益々高くならざるを得ないのだろう。ドミノ倒しと言われる位の影響がギリシャ、スペイン、イタリアをきっかけにユーロ安、ドル安、そして円高を招く。頼みは発展途上国であるロシア、ブラジル、インドだが、果たしてこれらの国が世界経済を救えるのか?非常に疑問である。従って私の卵zは経済面では暗いと言わざるを得ない。だが逆にある意味で「買い時」なのかもしれない。意外なところにチャンスはあるのでは?と期待している。さて暗い面ばかりではないようにしたい。6月には友人2人と一緒にスイス、オランダへ行くことになっている。久々の個人旅行だ。楽しんでこよう。