「手前勝手世界食物語、第227話」

「ローストビーフ」
久々に以前の会社のOBたちと会食をした。場所は「銀座東武ホテル」内のレストラン。ここビュッフェスタイルの食べ放題に飲み放題が付いて、5000円を切る。平日で且つ65歳以上だと更に安くて4000円だ。私は生憎65歳以下なので4300円だったが、その他の方は全員65歳以上だったので、4000円コースだった。ここの名物は「ローストビーフ」と「鉄板焼きステーキ」だ。その他、和洋中華も含めて色々な料理もあるし、デザートも豊富だ。これまで一度訪れた時は(勿論事前に電話蘭?オたが)満席だったが、今回はがらがらだった。意外に穴場なのかも知れない。味は流石ホテルのシェフの料理なのでまずは安心して食べられる。ドリンクはビール、ワイン、ウィスキー、焼酎が飲み放題だし、ャtトドリンクも充実しているから、家族連れにも都合がいいだろう。ローストビーフはナイフを入れてすぐに切れて咽喉越しも嬉しい。寧ろステーキよりもローストビールのほうが絶対にお勧めだ。年末までに一度行かれたら宜しいのではないか?お勧めです。
以上、東京から勢古口がお送りしました。

映画

映画「孔子の教え」(銀座シネスウィッチにて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年194作目)
キリストが生まれる500年も前の中国は諸国乱立の時代だった。そんな時代に「孔子」は「礼と仁」をもって国を治めようとしていた。しかし政治と理想とは決して上手く成り立たなかった。そんな孔子と弟子達の物語。

映画「追憶」(日比谷みゆき座にて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年195作目)
学生時代に同級生だった二人の男女は戦時中にニューヨークで偶然に再会し恋に落ちる。しかし彼女は信念を行動に移そうとする性格で中々彼との溝が埋まらない。彼は脚本家としてロスアンジェルスへ行き、彼女の付いて行くのだが、果たしてその結末は?美しい音楽が何とも堪らない映画でした。

日経新聞11月25日夕刊の「シネマ万華鏡」の評価は、「タンタンの冒険」が3つ星、「クリスマスのその夜に」が4つ星、「アーサー・クリスマスの大冒険」が3つ星、「怪物くん」が3つ星、「ハードロマンチッカー」が2つ星、「クロサワ映画2011」が3つ星、「サルトルとボ?ヴォワール 哲学と愛」が2つ星でした。

「シノプスシ150」
本「針いっぽん」(佐伯泰英著)角川文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年354冊目) 「鎌倉河岸捕物控」シリーズ第19作目 
「金座裏」の岡っ引き9代目「宗五郎」と、10代目「政次」が今度は大奥の争いに巻き込まれる。人気シリーズ最新作。

「ロシアの旅、後記」

「聖母マリア様」
モスクワの一角に物凄い数の行列があった。向っている先は教会だ。聞いてみると「聖母マリア様」の「帯」が飾られているという。通常はこの帯はギリシャの山の上にある修道院に「秘宝」として置かれていると言う。従って当然「女人禁制」の場所だから女性は観ることはできない。しかし今回はロシアにやって来た帯を女性も観ることができるというので長い行列が連日出来ているという。この帯に女性がキッスをすると子宝に恵まれるという。勿論ガラスのケースに入っているので直接触れることは出来ないがその効用は如何に。本当にマリア様が着用していた帯かどうかはキリスト教徒ではないので、その科学的真贋の程は別として、本物と信じて集まった人たちには何も言うことはない。「信じるものは救われる」ということで宜しいのではないだろうか。さてロシア正教のクロスの切り方は右手を上、下、右、左とカャ潟bク等の順序とは違う。また教会内では立ったままで膝まづくことはないのだそうだ。所変われば色々と変わるものだ。

「和食とロシア」
最近のロシアでの流行りに「和食ブーム」があるという。ドイツでも感じたことだが「お寿司」は世界的な料理になっているようなのだ。ここロシアでも「ロシア料理と和食」を同時に出す店が流行っており続々と出来ているというのだ。確かにモスクワの昼食時に向いの席のロシア人たちが寿司を食べていたのに遭遇した。男性は巻物を女性は握りをそれも箸を使って器用に食べていたのを見かけたが、ヘルシーさを売り物にした和食がしっかりと定着しつつあるようだった。

「KGB本部ビル」
ロシアで行きたかった、観たかったものの一つに「KGB本部ビル」がある。「ルビヤンカ広場」に面してどっしりとした灰色の大きな建物がそれだった。まずモスクワの全体感を掴んでもらおう。モスクワ川に沿って北側に「クレムリン」が赤いレンガの塀に囲まれてある。その周囲を時計回りの一方通行の環状道路が巡っている。この道路の周囲は官庁街と芸術文化等の建物が立ち並ぶ。東京の皇居と内堀通りを想像していただければよいだろう。モスクワ川のクレムリンとは反対側は民間の裕福な人たちが住む場所で昔から金持ちが寄贈した教会も立ち並ぶ。さてクレムリンを廻る環状道路の一角に「ルビヤンカ広場」があり、そこにKGBがあったのだ。ここで行われた悲劇の数々、一度入ったら絶対に生きては出られないといわれた「ルビヤンカ監獄」もそこにはあった。私の愛読書の一つである作家「フリーマントル氏」の「チャーリー・マフィン」シリーズは、イギリスは「MI6」の中年スパイであるチャーリーの活躍を描くが、ロシアに度々脚を運ぶチャーリーはロシアの女性と恋に落ち娘までいるという設定だ。このルビヤンカ広場をチャーリーも歩いただろうと想像するだけでワクワクしてしまう。ご存知だろうが、プーチンもメドベージェフもKGB出身だ。ロシアを操る元KGBの官僚たち。だからロシアは恐ろしい。

「年末ジャンボ宝くじ発売」

24日木曜日、有楽町は「西銀座チャンスセンター」前には例年通りの長い行列があった。今年は当り籤が倍増していると言うので、平日にも関わらず多くの人たちがお年玉と初夢を求めて並んでいた。どこで買おうとも確率は同じだと思うのだが、発売絶対数が多い、東京西銀座、大阪御堂筋等で当り籤が多く出るのは確率問題から当然なのだが、それでもゲンを担いで皆並ぶ。「買わなければ当らない。しかし買っても当らない」のが宝くじだ。税金を納めるつもりで買うしかないか?

「添乗員」
ロシア旅行の添乗員さんは経験14年の女性でした。彼女、帰国したら直ぐに今度は「京都」への2泊3日の旅の添乗だという。会社も酷使しているが、今国内旅行が絶好調だそうだ。どこも満杯で旅行会社は大忙しとのこと。震災以降、旅行を控えていた人たちがいよいよ動き出したらしい。特に今が紅葉真っ盛りの京都は大変な観光客の数だと言う。まあ漸く日本も復活復興に向い始めたといえよう。

初孫誕生

「J REPORT 2011 11月第4週号」
「リタイアメント・ノート 3年目5月目」 「VOL.714 SINCE AUG. 12th、1983」
「初孫誕生」
「初孫」が産まれました。11月15日午後4時31分、長女舞が女児を産みました。中々可愛い美人(身贔屓な爺馬鹿かな?)ですよ。体重3246g、身長52cmの大きな身体をしたしっかり者です。まずは母子共に元気なので一安心です。本当に可愛いね。美人ですよ。自分の子供が産まれた時に感じたのとは別の感覚です。次世代に繋がるDNAを持った分身が現れたという感覚ですね。100年後、いや1000年後に続く私のDNAをぜひ彼女に繋げてもらいたいと思います。誕生日の二日後、ロシアに旅立った。しかしロシア到着の次の日(18日)のメールで「新生児によくありがちの心臓の雑音があるので都立病院での検査入院することになった」との連絡があった。まあどんなのか?と安心しきっていたら、よく19日には「心臓に穴が開いている。心房中隔欠損症と心室中隔欠損症で二つ開いている。治療の方法は来週月曜日(21日)に医師と相談して、薬か手術か決めるそうです」と驚きのメールだ。奇形児なのか?心臓病でもう長くは生きられないのか?本当に旅行中だが、びっくりして涙、涙、情報も少ないし、海外からではどうしようもないので正に泣き面に蜂といった具合でした。元気な姿を見ていたし、娘からの授乳にも一生懸命に対応していた孫娘なのに神様はどうしてこんなに無情なのか?どうして我が孫なのか?もう苦しみました。21日に医師との対話後のメールでは「1週間位様子を見て入院するが、薬で対応するか、兎に角様子見、よければ週末に退院」とのこと、どうも切羽詰まった状況ではないようなのでまずは一安心か?そして22日午前8時に成田到着、すぐに娘に電話すると、「新生児は皆誕生時には心臓に穴が開いている。それは母体内にいる時には心臓を無理に使わずバイパスとなっているので穴が開いている。だが誕生するとすぐに塞がるが、孫の場合は穴が若干大きいのと塞がるのに時間が掛かっている」というのだ。100人に一人位の率で発生するらしい。それでも本当にほっとした。ああ神様ありがとうございます。また涙、涙、びっくりして旅行どころではなかったのでした。あんなに元気な姿だった孫娘は「栞(しおり)」と名付けられました。明日には病院に見舞いに行ってきます。
「栞ちゃん」、産まれて来てくれてありがとう。病院に行きました。未熟児を中心とした集中治療室には肘まで洗ってから見舞い人は入る。その日我々が訪れる30分位前にミルクを100cc飲んだと言う。栞ちゃんは起きていたが、物言う訳ではなし、母親に抱かれて眼を開けたりつぶったりしていた。まだ一度も私は抱いていないが、まだ首も据わっておらず、もう暫く様子をみよう。周囲の赤ちゃんたちに比べても大きいので心臓に問題があるなどとは全く思えない元気な孫娘でした。可愛いねえ。

「手前勝手世界食物語、第226話」

17日、機内食を2食摂る。最新鋭の「B777-200」のプレミアムエコノミー席の座席前食事用テーブルは普通のエコノミーの倍はあり、楽に食事が出来た。
18日、朝はホテルのビュッフェスタイル。昼は地元料理の「ペリメーニ」という所謂「水餃子」だったが、これを「サワークリーム」をかけて食べる。意外に美味しかった。夜は「スリヤンカ」というミネステローネ風スープと、名物料理の「キエフ風チキンカツレツ」だった。今一か? 
19日、朝食会場が変更になっていたが、内容は殆ど変わらない。果物でバナナが出ていたので一房食べた。ココアがあったので甘く暖かいココアを飲んだ。昼はエルミタージュ美術館内のテールームで軽食。「ピロシキ」を注文した。「サーモン入り」と「野菜入り」の2種類なのだが、日本で食べたピロシキとは全く違う。現地の本物は練った小麦粉の中に具を入れて焼いてあるから、「具入りパン」のようで油ぎってはいない。日本のピロシキは油で揚げてあるが本場は違うが、美味しかった。夜は「ビーフストロガノフ」だったが、これも牛肉を「ホワイトメ[ス」で煮込んだもので「デミグラスメ[ス」で煮込んではいなかった。これまでのロシア料理全般の評価は卵zを上回っていた。当初ロシア料理は余り美味しくないのではないか?と思っていたが、ちょっと卵zがよいほうに外れた。ロシア人の主食は「小麦粉」だという。パンは色々と種類もあったが、「黒パン」は酸っぱくて美味しくなかった。
20日、朝はランチパックを部屋で食べた。昼食はモスクワのレストラン、トイレの水が流れないというので消臭剤の匂いがきつくて参りました。料理は「ボルシチ」とメインは「タラのフライ」、薄味のフライはまあまあだったし、ボルシチはそれなりに楽しめた。どのレストランでも各食事にミネラルウォーターが付いてきてそれもタダなのがありがたい。それと紅茶とコーヒーもタダなのもありがたかった。夜は「ポークャeー」だったが、これはまあまあでした。
21日、昼食は郊外のショッピングセンターで軽食を食べた。
以上、ロシアの旅を勢古口がロシア上空からお送りしました。

映画

映画「シネマ歌舞伎 熊谷陣屋」(東劇にて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年191作目)「中村吉右衛門」演じる熊谷直実の「一谷嫩軍記」
源平は一谷の戦いで討ち取った「平重盛」の首を大将の「義経」に見せる「熊谷直実」だったが、忠義のために重盛を逃した。従って実はその首は自分の息子のものだったという悲しい物語。昨年、「歌舞伎座」改築のため、最後の月の舞台を映画撮影したもの。

映画「マネーボール」(丸の内ピカデリーにて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★★(今年192作目)
この秋一番お勧めの作品だ。オークランド・アスレティックスのゼネラル・マネージャーが弱小貧乏球団を如何にして優勝させるかと言うお話し。実に面白かった。必見の映画です。

映画「カイジ2」(日劇にて) 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年193作目)
今度は超巨大パチンコ、題して「沼」に挑むカイジたちです。

日経新聞11月18日夕刊の「シネマ万華鏡」の評価は、「アントキノイノチ」が3つ星、「新少林寺」が4つ星、「ジョージハリスン」が4つ星、「ラブ&ドッグ」が3つ星、「ラブ・アゲイン」が3つ星、「カリーナの林檎」が3つ星、「明日泣く」が3つ星でした。

「シノプスシ149」
本「涙橋の夜」(風野 真知雄著)幻冬舎文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年344冊目)「女だてら麻布わけあり酒場」4作目

本「お叙髣 ?v(和田はつ子著)講談社文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年345冊目)
「お医者同心 中原龍之介」6作目

本「下流の宴」(林 真理子著)毎日新聞社刊 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年346冊目)
娘が勧めてくれた本。中産階級の家庭からドロップアウトした20歳の息子が沖縄の離島出身の22歳の女性と結婚をすると言い出し、それぞれの家庭が揉める出来事を描く。正に下流に生きる男女の物語。

本「史記 五」(北方謙三著)角川春樹事務所刊 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年347冊目)
「武帝紀」、匈奴との戦いに敗れた漢の将軍「李陵」は捕虜となったが、彼が裏切ったとの誤報に接した武帝によって家族が全員殺されたことを知る。そして彼は匈奴と一緒に歩む道を選ぶ。

本「一朝の夢」(梶 よう子著)文春文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★★(今年348冊目)
「松本清張賞」受賞作品。朝顔の新種改良に命を掛けた同心と幕末の世を描く秀作。

本「わけあり円じゅう郎江戸暦」(鳥羽 亮著)PHP文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年349冊目)シリーズ第1作目
本「わけあり円じゅう郎江戸暦」(鳥羽 亮著)PHP文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年350冊目)シリーズ第2作目 「七人の兇賊」
本「わけあり円じゅう郎江戸暦」(鳥羽 亮著)PHP文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年351冊目)シリーズ第3作目 「奇剣 稲妻落し」
ある大名の隠し子だった「橘 円じゅう郎」は剣の腕を見込まれて人を助けて稼ぎとしていた。

本「血族の澱」(上田 秀人著)徳間文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年352冊目) 「お鬚番承り候」シリーズ第3作目 
将軍家綱の月代をあたる役目の「深室賢次郎」は将軍の特命を受けて活躍する。

本「波濤剣」(上田 秀人著)徳間文庫 私的批評眼(J’CRITICAL EYE)★★★(今年353冊目) 「将軍家見聞役元八郎」シリーズ第4作目 
将軍家重の命を受けて琉球にまで渡る三田村元八郎だった。

11月20日(日曜日) 第四日目

早朝、5時半ホテル出発で空港へ。途中地元アシスタントの「ナージャさん」の話し。ロシアの平均月収は20300ルーブル、約6万円だとか。しかし職業別には医師15000ルーブル、教師16000ルーブル、油田技術者6万ルーブルとのことで年金は平均月8500ルーブル、定年は男性60歳、女性55歳。不動産については、サンクトペテルブルグ市内中心部のトイレ・キッチン付き小規模ルームで4百万ルーブル、郊外で2百万ルーブル、中心部のレンタルで月15000ルーブルと収入に対して比較的高い。学歴が高いほど収入が低いという矛盾を抱えているようだ。保育園には1歳から、幼稚園には3歳から通えるが順番待ちだという。親は子供が生まれるとすぐに保育園や幼稚園を蘭?キるという。徴兵制のロシアだが金持ちの子供は賄賂等で絶対に徴兵にいかないという。いずれにしても賄賂が横行している社会らしい。空港までナージャさん、送ってくれてありがとう、スパシーボ!!
サンクトペテルブルグから南へ750kmのモスクワの夜明けは9時。東の空から真っ赤な太陽が昇ってきたのを機内からみた。因みに日没は5時だった。市内中心部の「赤の広場」「クレムリン」「聖ワシリー寺院」「レーニン廟」「グム百貨店」等お決まりの観光コースを歩く。気温は1度だというが風が冷たい。赤い壁に囲まれたクレムリンはイメージが全く違ったのと、赤の広場を後進する軍隊を謁見する党中央委員たちの立つ場所がレーニン廟の2階だというが、非常に低いところだったのでこれは本当に驚かされた。何か高い建物の上から見ているような印象を映画やテレビで持っていたものだから、あまりの低さに「目から鱗」だった。「宇宙飛行士博物館」は旧・A時代に唯一米国をリードしていた部門だったから、祖国の栄光を背負っていた飛行士たちの気概が伝わってくる施設だった。日曜日とはいえ家族連れが多く目に付き、ロシアの人々がいかに宇宙飛行士たちを尊敬しているかが分かった。
ここまでの旅行で「ロシアのイメージ」は確かに変わった。まず当初はロシアといえば「熊」、獰猛で野蛮で強引で低脳といった印象、それが今は「貧富の差が激しい寒くて厳しい気候に必死に住む人たち」或いは「小熊のプーさんの親戚のおじさん的?」に変わりつつある。あと一日どのように変わるのだろうか?

ロシアの旅

「J REPORT 2011 11月第3週号」
「リタイアメント・ノート 3年目5月目」 「VOL.713 SINCE AUG. 12th、1983」
「旅暦36 ロシアの旅」
11月17日(木) 第一日目
成田を午前11時に出発して、ロシアのモスクワには現地時間午後4時(日本時間午後9時)に「ドモジェドボ国際空港」到着、約3時間の待ち合わせで国内線に乗り継ぎ、「サンクトペテルブルグ」へ、そしてバスにてホテルには現地時間午後10時半(日本時間18日午前3時半)と長い旅でした。モスクワの空港は周囲は白樺の林が延々と続く平原の中にあり、気温はマイナス1度。そしてサンクトペテルブルグは0度だったが、機内が暑くてむしろ気持ちよい気候だった。空はどんよりと曇り、時々雪混じりの冷たい風が吹く。しかし本格的なロシアの冬はこんなものではないのだろう。ここサンクトペテルブルグのこの前の冬はマイナス30度を越えた日もあり、2mもの大雪だったとのこと。そして今年の夏は猛暑で30数度にまでなったらしい。やたらと添乗員が「スリに気をつけましょう」と言う。「お金は分散して持とう」とかそんなに気にする必要があるのだろうか?それよりも「ホテルの部屋の中には荷物を出したままにしないでください。スーツケースに入れて鍵をかけてください」とのこと。旅慣れた私も仕方なくパャRンもスーツケースに入れておくことにする。今、日本時間午前4時半、普段ならばもうじき目覚める時間なのだが、腹が減ったので日本から持参した「おにぎり」を食べている。寝られるかどうか分からないが兎に角寝よう。

11月18日(金) 第二日目
駄目だ。時差のために眠れない。少しうとうとしたが、また起きだした。こちらの時間で午前4時(日本時間午前9時)だ。通貨「ルーブル」は成田で1000ルーブル=3010円両替した。余り使うつもりもない。喉が渇く。日本から持参した紙パック入りのお茶を既に4本、1L飲んでしまった。こちら、「サンクトペテルブルグ」は、第一次世界大戦後、名前がロシア語風に「ペテログラード」に、そしてレーニンの死後「レニングラード」に、更に・A崩壊で元の名前に戻されたという現在500万人のロシア第二の都市だ。川と運河と湖の町だというが、夜景も綺麗だった。ホテル近くには24時間稼動しているスーパーもあるし、ホテルの裏は海だというから、朝明るくなったら行ってみよう。話しは元に戻るが市の名前だが「ブルグ」はドイツ語の、「グラード」はロシア語の「街」を意味するという。だからここは「聖ペテロの街」ということなのだそうだ。最近風邪も引いたし体調もよくないので「禁酒」している。ほぼ「アルコール依存症」の私にとって禁酒は眠れないという副作用があるだけでお酒を飲まなくても問題はない(眠れないのが問題か?)が、眠れないからといって死ぬことはないだろうと思っている。それでは本でも読んで長い夜が明けるのを待とう。
こちら朝8時になったが、気温摂氏+2度、川から霧が発生していて視界不良だし、まだ真っ暗だ。取り合えず水を買いに行ってきたが、とても散歩をする雰囲気にはならなかったのでまっすぐにホテルに戻る。水は安いのを買った。1.5L入りで20.85ルーブル、約63円だ。フロントでインターネット接続サービスを垂オ込む。デポジットを入れて1時間200ルーブル、約600円と割高だ。デポジットなしだと1時間330ルーブル、990円だ。それにしても高いねえ。今日は市内観光第一日目だ。このホテルには後2泊する嵐閨B今日の最高気温は+10度との卵zだとか。暖かいねえ。風邪気味なので困っている。薬はちゃんと飲んでいるのだが、一向に回復しない。
朝、9時ホテル出発、「エカテリーナ宮殿」へ向かう。朝が明けたのは午前10時過ぎ、真冬だと夜明けが11時で日の入りが3時だという。イタリア人の建築家によるこの「夏の宮殿」と呼ばれる宮殿は流石だ。特に有名なのは「琥珀の間」だ。だがこれが戦争で破壊と略奪にあって今の部屋は復旧復元された新しいものだというのだ。がっかりした。市内に戻って豪華な寺院、教会、宮殿等を見学した。この街は18世紀初頭に「北のベニス」と称されたように「ネヴァ川」を挟んだ湿地帯に運河を張り巡らして建設されたという。今の主要道路は当時の運河を埋め立てたものだという。だから現在のこの都市の問題点は「交通渋滞」にある。川があり運河があり橋がある。従って道路は限られてしまう。そこへ湿地帯のため地下駐車場が造れない。道路わきに車は駐車されるから道路(全て駐車可)が余計に細くなる。そこへ突如として「車社会」が出現したとなれば交通渋滞以外にはありえないのだ。この街はヨーロッパを真似て6階から7階建ての石造建築物が規則正しく立ち並び、それは素晴らしい眺めだが、18世紀から19世紀には通用したものが21世紀には全く通用しなくなっているという事態に遭遇しているのだった。当然昔の建物だからエレベーターなどない。よって下の階のほうが天井が高くて家賃も高い。上に行けば行くほど安くなるのだそうだ。納得した。また、ここでは湿地帯のため育つのは「キャベツ」と「ジャガイモ」だそうだ。蛇足だが我々が「ダーチャ」として知っている所謂「別荘」とは、こちらでは花や野菜を栽培する家庭菜園の付属してあるb>「農具を入れる小屋」だそうで庶民が持っているものらしい。とても別荘と呼べるようなものではないのだそうだ。
さて「大祖国戦争」(所謂第二次世界大戦)でナチスドイツに900日に亘って包囲されたにもかかわらず耐え続けたを持つロシア人の象徴的なこの街は「プーチン首相やメドベイジェフ大統領」らの出身地でもあるという。
文化文明の尺度は「交通マナー」ではないか?と私は思う。「先進国と後進国の差」は正にこれにある。中国やロシア、韓国やエジプト等の交通マナーの悪さは民度の低さを示している。先進国になるためにはまず自国民を教育して交通マナーを徹底させることが肝要だろう。まずは「交通ルールを守る。歩行者、自転車等弱者優先」だ。ところでロシアではバイクや自転車が殆ど見られない。「停めておくと盗まれる」という問題もあるのだが、不思議な光景だった。ヨーロッパはある意味自転車天国だが、ロシアは全く違った。それと自動車のタイヤだがスパイクタイヤを履いていた。

11月19日(土曜日) 第三日目
今日は日がな一日「エルミタージュ美術館」内を巡る。ネヴァ川沿いに並び立つ大小の美術館群がそれだ。エルミタージュとはフランス語で「隠れ家」だという。400万点にも上る美術品の数々が今回の私の旅の最大の目標なのだ。約6時間、内1時間は昼食だったが、広い館内で特に有名な絵画等を堪狽ウせてもらった。とても一日で回れるものでもないし、本当ならじっくり観たかったが、時間の制約上仕方がない。夜はエルミタージュ劇場でかのチャイコフスキー作曲の「白鳥の湖」のバレーを観た。踊りは勿論演奏も素晴らしかった。リズミカルな音楽に合わせたバレリーナの繊細な動きと、一転して悲しい暗い曲に変わり動きも変化するこれらの微妙な対象は素晴らしいとしか言い得なかった。土曜日ということもあって家族連れも多く、小さな子供たちがたくさんいたのにも驚かされた。ロシアでは我々が日本で学習塾に通うように子供たちは音楽塾に通うという。だから楽器の演奏には皆長けているそうだ。そういった風習にも裏打ちされてこういった芸術が大勢の人たちに愛されているのだろう。
最近海外の観光地へ行くと目立つのが中国人観光客だ。地元の人からも我々日本人に対しても中国語の挨拶が掛けられるから、「東洋人といえばヨーロッパでは中国人」が代名詞になりつつある。今回のバレーにも多数の中国人観光客が来ていたが、そのマナーの悪さには参る。撮影禁止なのにデジカメやスマートフォーンで動画撮影を延々と行っている。それも集団でだ。今から30年も昔には日本人が同じような行為で欧米諸国民から軽蔑されていたのだろう。今の中国人の観光客は成年男子が圧倒的で女性は少ない。日本もその昔は「農協」の叔父さん達ばかりだったのだろう。今は日本人観光客のメインは女性陣だ。将来中国人もそうなるのだろうが、発展途上の今、海外旅行に行くのは中産階級以上になったばかりの男性たちなのだ。GDPで日本を抜いて世界二位とはいえ一人当たり所得では10分の1の中国はまだまだレベルが低い。運転マナーもそうだが、芸術鑑賞についてもう少しマナーが守れるようにならなければ、本当の意味で中国が大国入り出来たとは言えないだろう。勿論食事のマナーもだが。二日間ガイドをしてくださった地元の「クラーエフ・ヴァシーリィー」さん、本当にお世話になりました。スパシーボ!

11月21日(月曜日) 第五日目

いよいよ帰国日となった。早いものだ。あっという間のロシア滞在だった。クレムリンの中に入る。大統領執務の建物や色々な美しい寺院があり、これが嘗ての共産党のメッカだったとはちょっと信じられなかった。ちょうどロシア正教の大司教の誕生日ということでミサが行われていて、聖職者たちが次々と訪れていたの。通称「武器庫」で宝石類を見た。世界で三番目という大きなダイヤ等我々庶民には全く縁のないものだったが、確かに国家の威信を浮キ一品であることには間違いなかった。女性ガイドのイリーナさんからの情報を記す。驚いたのは平均寿命が男性57歳、女性75歳ということだった。男性が短命なこと、死因の第一は心臓病、二番目がガン、三番目がアルコールだという。納得できる話しだ。中産階級以上のある程度高収入の人たちは全体の15?18%、その他大多数が貧困層だという。嘗ての共産党時代には皆平等だったのが、逆に資本主義化されてその格差が広がったのが実情のようだ。税金については、消費税は物によって違うが、生活必需品は安く、ぜいたく品は高いそうだ。また所得税は一律に13%というからこれは問題だろう。高所得者優遇税制になっているのだ。しかし休暇はそれなりにとっているようで、そこが日本と違うのだろう。イリーナさんによればロシア人は基本的には働き者で、学生でもアルバイトで稼ぐし、お店も24時間の店もあるから、みんな一生懸命働いているということだ。ラジオのパーャiリティーの人が16万ルーブル(月)稼げば、モスクワ市民の平均月収は65000ルーブルだというから、地方格差も広がっているということらしい。貧しい家庭は老人、お父さんお母さん夫婦、子供たちと3世帯の大家族だという。男性の大半が年金を貰う前に死んでしまう社会と聞いて恐ろしくなった。しかし恐らく若い人たちは「ロシアン・ドリーム」を求めて必死に勉強し仕事をし生活しているのだろう。義務教育11年を経て男性は大学へ、女性は20歳で結婚するという。離婚は当たり前だというからロシア人も大変な苦労を持っているのだと理解できた。イリーナさん、スパシーボ!!
今、JALの機内でこれを書いている。後9時間弱で成田だ。思っていた以上に面白いロシアを少しだけ体験できたが、またいつか来てみよう。