「本のお話し」

「本のお話し」
先月、スペインから帰国したら郵便物が届いた。それは大阪勤務時代の取引先の元副社長Y氏からだった。退職後も独立して人材派遣業をされていたので、転籍したDコンクリート社にも何人か人材をご紹介頂いた経緯があり、今でもお付き合いをさせて頂いている方だ。そんなY氏より「拝啓、ご無沙汰しております。益々お元気で読書、映画鑑賞、海外旅行などでお過ごしのご様子なによりと存じます。――中略――知らぬ間に後期高齢者の仲間入りとなり、厚労省による男性の平均寿命80.3歳、私共の平均余命は9年余の様です。残りの人生を健康で楽しくい過ごしたいと願っております。ところでA社時代(注:Y氏が副社長をされていた会社のこと)の仲間、北村氏の奥様がこの度エッセイ集を出版されました。――中略――読書家の貴殿にご一読賜れば幸いですーー後略――」とのご丁寧な手紙と共に一冊の本が送られてきた。
それが「床屋の娘と素適な人達」、著者「北村昭子」、「文芸社」刊だった。本の帯には「ほんまに、いろんな人がいてはる そやから人生、面白いんよ」。「家族、地域、勤務先、それぞれの 人とのふれあいを あたたかく 小気味よくつづる エッセイ集」とあった。裏の帯には「床屋の娘として生まれ、理容師、美容師、そして調理師と人生を歩んできた著者が、さまざまな場所で人とふれあい、ふと気づいたこと、感動したことなどを生き生きと描写。読んだあと、じんわり、ほっこり、の ちょっとイイ話!」。(写真:本)

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いやあ、驚いた。実に軽妙なタッチで人生の面白さ、人の心の襞を暖かい文章で描いている。素人ではないだろう?と思ってしまう痛快な内容だった。あっという間に2時間で読破した。全てがご自分の周囲で起こった事ごとを時には皮肉な目で、時には涙目で、そして時には笑いの目で描いていた。北村氏とはY氏も含めて大阪は「十三」(じゅうそう)の焼きトン屋で度々飲んで食べて遊んだものだ。北村氏は一時大病を患われたと聞いていたが、お元気になったようだ。彼の奥様の文才には本当に驚きでした。もし宜しければ読んでみては如何でしょうか? お薦めします。
話しは違うが、数年前十三駅前で火事があり、あの辺りが全焼したと聞いているのだが、あの焼きトン屋さんは今もあるのだろうか?