「癌闘病記ー第25回」

「癌闘病記―第25回」
「肝細胞癌との戦いは?」
フットボールの後輩が亡くなった。彼も私と同じ癌患者で数年前に博多で会食をした。享年70歳と若い。同病相哀れむ。人生は短く素早く過ぎ去る。寿命とは何なのだろう?私もよい抗癌剤が見つからないと、副作用に悩まされながら、昨年のステージ2が徐々に拡大して3年後の生存率は60%、5年後の生存率は30%だという。それまでに癌が他の臓器へ転移すればステージ3からステージ4となり、更に死期は早まるだろう。副作用も辛いが自分に合った抗癌剤が見つかるかが一番の問題だ。私の癌は小さな癌細胞が肝臓内部に散らばっているという始末に負えないもの。まとまっていれば切除とか放射線が可能らしいが、散らばっているのでどうしても化学療法しかないようだ。一寸先は闇だから、一日一日を大切に生きるしかないのだろう。
抗癌剤の副作用により大腸炎になり入院しステロイドの治療を受けたが、徐々にステロイドを減らしつつ二の腕に取り付けたセンサーから血糖値を測りながらコントロールをするという具合だから中々大変だ。ステロイドの影響が血糖値の上昇に繋がっている。自分でのインスリン注射も慣れつつあるが、早く適合した薬が見つかることを願うばかりだ。
11日間の入院生活ですっかり身体が鈍った。病室から一歩も出なかったが、毎日スクワットを百回程度やってはいたが、歩いていないので体力は大幅に落ちている。退院後徐々に歩くようにしているが、今一つ安定感が出て来ない。やはり入院は身体にはよくないな。 
退院後4日目、血糖値が上がりっぱなしだ。平均で300、高い時は判定不能の500,最低でも200といった状態だ。早速医師に相談するとインスリンの量を増量せよとのこと。おいおい大丈夫かな?

生命とは何なのだろうか?奇跡に奇跡が重なって地球の海で誕生した単細胞は数十億年の月日を掛けて自己分裂を始め、やがて雌雄に分裂し更に進化を辿り今に至るという。中学時代の恩師であった香山先生によると、その進化の過程は母親の子宮内での受胎から胎児への変化で全てを観ることが出来るという。人間と言うのもそんな進化の過程の一部なのだろう。そんな状態で生物は常に自己のDNAを次世代に残そうとしている。それを進化と呼ぶのか自己保身と呼ぶのか分からないが、それでも生物の本質は変わらない。何世代にも何十億世代にも渡り生物はこれからも生き続けることが果たして出来るのか疑問ではあるのだが。
私はこれからも残された実に短い人生を精一杯生き抜こうと気力だけは充実している。頑張ろう。次世代が癌を克服する時代を目指して。

以上、いよいよ短い梅雨が明けた猛暑の東京から㔟古口がお送りしました。

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次は前週のJ REPORTに続きます。