「手前勝手世界食物語、第212話」

「尾花」
東京で一番人気のある鰻屋さんといえば、勿論「尾花」だ。久し振り、恐らく数年振りに南千住の尾花を訪れた。開店直後の11時半だったが、既に一巡目の客が入っていて、外に行列が出来ていた。店側曰く、「これから一時間待ちです」とのこと。そとには椅子もあるが、私は立ちん坊。大きなミスト噴霧器付きの扇風機が廻っていたので意外に涼しかった。一時間待って、店に入ってから55分後に注文した「鰻重」の「中」が出てきた。因みに鰻の注文は並んでいる時にすることになっている。メニューを見てみると、「白焼 3300円」「うな重 3000円、3500円、4000円」「蒲焼 3200円 3700円 4200円」「中串蒲 8000円より」「筏 蒲焼 13000円より」「うざく 1500円」「う巻 1800円」「柳川 2300円」「あらい 1000円」「鯉こく 1200円」「焼鳥(二本) 1100円」「焼鳥重 2500円」「茶碗蒸し(10月から3月)1100円」とある。その他このメミューにはないが、「お新香」と「肝吸い」、それに飲み物類が注文できる。調理場を見てみると、凡そ男性が8名で、2名が捌き、2名が焼き、4名が盛り付けとその他の料理担当のようだ。4名の内2名は蒸しの仕事もこなしていた。女性陣も6≠V名ほどが店内を駆け回っていた。更に会計の窓口と下足番兼オーダー取りの女性が2名。板場の焼きの係りの人には頭の上から蛇腹のスポット冷房が流れていたが、そうでないととてもではないが火の前では暑くてたまらないだろう。さてこの店、鰻がなくなり次第店仕舞なのだ。過去にも何度となく仕事の後に来たことがあり門前払いをくらった経験がある。さあ、注文した3500円の鰻重と肝吸いが出てきたので食べた。時間はたったの10分。都合2時間以上で漸く食べられたが、やはりここの鰻は柔らかくて美味しかった。器も美しいし満足でした。さて過去、中串蒲や筏串蒲も食べた経験があるが、筏は流石大皿から溢れ出している超大型の天然鰻が丸まる一匹乗っていたが、これが出ると周囲のお客からため息が漏れるという優れものだ。昔は筏が1万円からだったからやはり値上げされていたが、チャンスがあればもう一度トライしたものだ。本当に美味しいのはこの筏だとお伝えしておく。お土産の鰻重の折を持って外に出たが、合計7450円は高いか安いかは食べてみれば分かるというもの。外にはまだ20人近くのお客が炎天下並んで待っていた。待ち時間1時間、店内で更に待ち時間1時間、さあどうしますか?お昼でなければお酒を飲みながら鰻が出てくるまでの間に焼鳥やう巻などを摘み時間調整するのだが、お昼では仕方がなかったので本を読みながら鰻を待っていた私でした。やはり尾花は尾花でした。
以上、暑さがぶり返した東京から勢古口がお送りしました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。