「俺をとりこにしたフレンチ」という題の谷昇氏の講演
服部学園の学園祭で六本木のフレンチレストラン「ル・マンジュ・トゥ」のオーナーシェフ「谷 昇」氏の講演会を聞く機会を得た。この店、6年連続で「ミシュラン・ガイド」で「2つ星」を獲得しているという。当日は「オマール海老」と「鳩」の肉処理の仕方と焼き方を教授してもらったが、その中で貴重な話しを聞いた。「料理は素材の良さ以上のものは出来ない」と「料理人は素材の良さを引き出すだけ」というものだった。即ち谷氏の考え方は「全ては素材による」ということだというのだ。不味い素材をいくら扱っても美味くはならないという。如何に良い素材を選ぶか、逆に言えばそれが目利きなのだろう。それと「ステーキ」の焼き方だが、谷氏は「私は4kg位までの肉はオーブンではなく、フライパンで焼く」というのだ。それも塩も胡椒も付けずに焼くという。塩を肉に付けて焼くと塩が油を吸ってしまい、不味くなるというのだ。だから焼き上げてから最後に塩と胡椒を振ると言う。一度私も試してみよう。ミシュランの三ツ星を取れない理由を林氏は今の座席数15席から倍増させればいいのだろうが、逆に10席程度に減らしたいと述べられていた。彼も質を落としたくないということなのだろう。
「江戸の庶民の生活は楽だったか?63」
「長谷川平蔵とは」
池波正太郎著「鬼平犯科帳」の主役「長谷川平蔵」は実在した人物だ。前回も述べたように平蔵の父親は400石の旗本だったが出世して「京都町奉行」にもなっていた。平蔵自身は若い頃は遊び人で親の財産を食い尽くして「本所のテツ」と呼ばれていたようだ。幕府で付いた役が「御先手組弓頭」だ。この役は平時においては将軍の警護や江戸の治安維持、戦時においては文字通り先手、即ち先鋒を務める名誉ある武士団の頭の一人だった。それが「加役」という追加の役目で「火付盗賊改」に任命され1500石となっていた。この役は町奉行傘下の与力同心とは別行動で捕縛を行ったが、召捕りを優先した町方に対して切捨て御免で対応したのが火付盗賊改方だったから、こちらは現代で言えばSWATみたいなもので、町方が警察だろうか?でも庶民には平蔵は人気があったようだ。