4月21日(火)
アメリカとメキシコの関係はその昔は戦争にまで発展したということは日本では余り知られていない。昔「アラモ砦」という映画があり、メキシコ領だったテキサスで、勝手に入植者たちが独立を宣言したが、アラモ砦のアメリカ人たちがメキシコ軍により全滅させられるというのがあったが、あれもアメリカによる対メキシコ戦の謀略の一つだというのだ。全滅させられてアメリカの国論が対メキシコ戦開戦へと向かうような動きになり、最終的にはアメリカは勝利する。これと同じことが太平洋戦争の真珠湾奇襲だ。事前に分かっていたから主力の空母は避難させていて、「リメンバー・パールハーバー」で世論を纏めて戦争へと向かわせたという。メキシコに勝ったアメリカは独立していたテキサスをやがて併合する。まるでロシアのクリミア併合のようだ。更にアメリカはカリフォルニア他南部地区をメキシコから買収するという手まで打つ。カリフォルニア進出はアメリカが太平洋に進出し日本へ向かうための極東戦略上の必要条件だったらしい。これによりペリー提督が太平洋を横断して日本にやって来る所謂「黒船来航」となるのだ。朝の街はすがすがしい。ジャカランダという紫色をした花を咲かせた木が沢山ある。現在メキシコ在住日本人は約8000人というが、大半がメキシコ・シティ周辺に住んでいるという。話しは変わるが、メキシコは徴兵制度が一応あるようだ。18歳になるとくじ引きをさせられ当たると1年間の軍役に付かされるという。陸軍中心で13万人、他に若干の空軍と海軍があるが、基本は国内治安対策向けだという。確かに北のアメリカは強すぎて勝てる訳ないし、中米の国は弱すぎるので戦争にならないというのだ。また大卒でまともに就職出来て初任給が6万円から高くて7万円で、非常に厳しい就職難だという。勿論私立大学出身者はコネで良い会社に就職出来るという。お金持ちネットワークらしい。国立大学卒の人たちは文系では殆ど就職先がないという。理科系、法律系は別だが。「国立人類学博物館」は凄い。メキシコの有史前から現代までの歴史を観ることが出来る。余りにも広いので一部しか観ることが出来なかったが、素晴らしかった。1510年のスペイン侵略は、約500名の騎乗の兵士と約100名の船乗りによって成し遂げられたと言われているが、果たして本当にそうだったのだろうか?実はアステカ王国の内部に反アステカの部族がいて、これがスペインに協力して5万人から8万人もの兵力を動員したのでアステカは倒れたという説があるそうだ。これのほうが、真実味がありそうだ。だからアステカはある意味内部崩壊したというのだ。アステカの王族たちは「ジャガー」と「翼のある蛇=所謂、龍」を信仰していたが、それ以前のマヤ文明(BC1200?AD1400)も同じ考え方の信仰があり、ジャガーの形に頭がなるように頭蓋骨を変形させたというのだ。ジャガーを横から観ると、鼻先が尖っていて、そのまま鼻筋が頭部迄続いている。王族も鼻からそのままオデコが出っ張っておらず、真っ直ぐに頭の頂点まで続いていた。正に人間がジャガーになったような頭蓋骨なのだ。これは幼児期に板のようなもので頭蓋骨を強制的に変形させたことによるらしい。王族の墓から出た人骨は正にそのようになっていた。当時のマヤ人の平均寿命は22歳なのに王族の中には60歳、70歳、果ては80歳にもなる長寿の人たちがいたという。その飲み物が「カカオ」即ちチョコレートだったというのだ。さてマヤには文字があり、石に刻まれたマヤ文字などはその典型例だ。マヤは翡翠を非常に重要視していて、翡翠の品々が王の墓から出土されていた。午前中に「世界三大聖地」の一つである市内中心部の修道院に行った。1531年に丘の上にマリア様が現れ、その姿が大きな風呂敷上のマントに写し描かれたという奇跡が起こったカソリックの聖地なのだという。その聖布を観ることが出来、写真も撮れた。この絵の前で度々奇跡が起こったという。マリア様が現れたのは、他にフランスの泉とポルトガルの丘があり、メキシコの丘で3つの聖地となるらしい。午後からはマヤ文明の中心都市「テオティワカン」の月のピラミッドと太陽のピラミッドへ行った。ここも凄い建造物だが、中南米全体では100以上の巨大なピラミッドがあるというから驚きだ。この遺跡はメキシコ最大のものだという。私は膝のこともあり、月のピラミッドの中腹まで登ったが、大きいほうの太陽のピラミッドには登らなかった。写真は昼食のレストランで働いていた人でインディオ風の踊りを踊って歓迎してくれた。