「手前勝手世界食物語、第230話」

「長命寺の桜餅」
日本橋高島屋のデパ地下では木曜日、両国の江戸東京博物館では開館日は毎日、この下町名物の「長命寺の桜餅」が買える。その昔、八代将軍「徳川吉宗公」が隅田川沿いに桜を植えた。長命寺の寺男がその桜の葉を塩浸けにして餅を包んだものを売り出したところ評判を呼び、今に至っているという。実際に「長命寺」が桜餅を売っている訳ではなく、その門前で売っているのだが、有名になったものだ。バブル真っ盛りの頃、年に数度?向島の料亭で接待を受けたことがある。芸者さんたちとの会話が楽しく、楽団付きのカラオケも面白く、遊び呆けた後に車で送られる時にお土産で頂くのもこの桜餅だった。ほんのりとした甘さが桜の葉の塩味とマッチして本当に美味しい、そして上品な甘さが和の極みを浮オてるといえよう。江戸時代から続くこの餅の美味しさは日本独特の味を醸し出している。アメリカに行くといつも思うのだが、何でもお菓子類は兎に角甘い。甘過ぎる。あれだけなんで甘くしなくてはならないのだろうかと我々は思うのだが、味音痴の彼らにとって甘いことが全てなのだろうか?確かに江戸時代の日本では砂糖は貴重品だったから、高級な砂糖を使った和菓子は庶民には味合えないものだったのかもしれないが、それでも和菓子はちゃんと存在し、その姿の美しさ、味の美味しさを例えば「茶道」の中でも生かしている。欧米の甘さ中心のお菓子と微妙な味具合を大切にする和菓子との差は文化文明の差だといってもいいものだろう。
以上、勢古口が東京からお送りしました。早くも年末、もう半月もありません。いよいよインフルエンザが蔓延してきたようです、警戒してください。

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