「PCR検査の偽陽性と偽陰性について、M君レポート」

「M君リポート」
先日も医学の話しで知恵を出してくれた友人のM君から「PCR検査の偽陽性・偽陰性に就いて」というレポートを貰いました。非常に上手く素人とはいえ纏められているので抜粋して掲載します。何故抜粋かというと非常に長いレポートなので。
話しの発端は8月20日のTV朝日、羽鳥真一、モーニングショー内の玉川徹氏「そもそも総研」での議論からM君が感じたことを纏めたものです。勿論彼が独自に調べたものも含まれています。

「用語の説明」
医学の臨床検査で、“陰性のものを、正しく陰性と判定する確率”を“特異度”と言います。その対として“陽性と判定されるべきものを、正しく陽性と判定する確率”を“感度”と言います。誤判定がゼロの場合、特異度・感度はいずれも100%となります。特異度90%と言ったら、100人を検査して、その内の10人が、本当は陰性なのに陽性と判定される(=偽陽性)と言う事。一方感度90%というと感染者100人を検査して、その内の10%、即ち10人を陰性と判定してしまう(=偽陰性)という事です。

「現実の特異度と、偽陽性の発生原因」
現在、先進国で行われているPCR検査の特異度は、堅く見て99.99%程度だそうです。(ロンドン大学キングスカレッジ渋谷健治教授の発言)
つまり、1万人の人を検査した場合、その内の一人だけが、本当は陰性なのに陽性と判定されてしまう(= 偽陽性)という事です。渋谷先生は“これは堅めに観ての数字なので、実際には先進国での特異度は、ほぼ100%と言ってよいと思う”でした。誤判定(=偽陽性)が出てしまうとしたら、その原因は検査体採取から検査機器にかける迄の何処かで、取扱ミスの類が起きてしまう可能性、という事のようです。

「現実の感度と、偽陰性の発生原因」
現在、感度は70%程度と推定されています。(渋谷先生発言) つまり100人の感染者を検査にかけた場合、30人は陰性と判定されてしまう(=偽陰性)という事です。この誤判定の原因は、検体の中にウィルスがいなかった、といういのが大部分。検体は通常、鼻の奥の粘膜を採取したものを使います。そこにウィルスがいなければ、陰性と判定されます。その人の鼻腔以外の身体の何処か?(肺?気管?)にウィルスを持っている訳で、そうなると感染力(他人に感染させてしまう)が心配されます。然し鼻腔粘膜にいなければ、その分感染力も低い事になるので、相対的には“割と安全”のようです。

「PCR検査の目的」
二つの目的が有ります。一つは検査を受ける人がコロナに感染しているか否かを確認し、その後の治療につなげるため、即ち“治療目的”です。もう一つは感染の広がり具合を調べ、感染拡大防止策策定に資する為という“社会目的”です。

「PCR検査を拡大しない理由」
コロナ騒ぎの早い段階から、政府(厚労省)はPCR検査の拡大に不熱心であり、その姿勢は今日も続いています。(少なくとも筆者にはそう見えます) 何故、厚労省がこのような態度を取り続けているのかに就いて、7月下旬の“そもそも総研”が取り上げてくれました。コロナ騒ぎの初期の段階で言われていたのは以下です。検査数を増やす事により、発見される陽性者数が増える。陽性者は、感染症法の規定より、入院させねばならない。然し、感染症罹病者を収容するための隔離病棟の収容力には限界がある。この限界を考慮せずに、検査数を増やしてしまうと“陽性なのに入院出来ない”という“医療崩壊”が起きてしまう。そういう事態を避けるために検査数を増やす訳には行かないということです。
その後3月半ばからでしたか、感染者数が増えるに連れ、病院のベッドは症状の軽い重いに拘わらず、“先に見つかった人”が占領し、後から見つかった人は症状が重くても入院出来ないという医療崩壊に近い状態が現出しました。この状態に対応すべく、政府・厚労省は、感染者中、軽症及び無症状の人に就いては、入院ではなくホテル等に収容隔離するという便法を網エアしました。
4月7日には緊急事態宣言が発出され、外出自粛が進み、それに連れて新規感染者数は減少、感染者全体の数も漸減し、5月25日には宣言は解除、6月19日には飲食店の営業時間制限も全て解除されました。それ迄の自粛ムードも緩み、すると感染者数の再拡大が始まり、今日に至っています。この間政府・厚労省はPCR検査の数を増やす様な事を、口では言い乍、実際の検査数の拡大は世間が期待するような速度にはなっていません。
小林慶一郎氏(政府分科会メンバーで、東京財団政策研究所の研究主幹を務める経済学者)によれば、厚労省はPCR検査の拡大により一定の確率で発生する偽陽性者を隔離してしまう事を、とても恐れ、だから検査を拡大しないのではないか?という事でした。偽陽性の判定により、感染していないにも拘わらず隔離を強いられ、自由を束縛されたという事で訴えられた場合、国が負ける。そこ事を厚労省をして検査を拡大させない原因だという話しです。

「筆者の意見」
筆者はコロナ対策の本命は圧倒的な検査数で、市中の感染者を炙り出し、その人たちを隔離収容する事により、“市中に感染者は居ない。だから社会活動は再開して何の問題もない”という状況を作り出す事と信じています。これは中国が武漢でやって見せた990万人の市民全員を約2週間かけて検査し、300人の感染者を発見隔離。その後武漢では長期に亙り感染者が全く出ず、市民は自由に外出・活動しているそうです。個人の行動の自由を尊重する日本では、全く同じことは出来ないのでしょうが、似たことは出来るのではないでしょうか?
検査に必要な物的・人的資源、費用が問題だとする説もありますが、これらは全て政府がやると決意して注力すれば、解決出来る筈です。今日決めて明日には出来ないでしょうが、コロナ騒ぎが始まってから、既に半年が経過しています。費用に関して言えば、国民全員への一律給付10万円に要した金額は、支給額だけで12兆円以上です。あの12兆円は一時凌ぎにはなったかも知れませんが、国民の多くは既に忘れてしまっています。そして、コロナ問題は解決どころが、改善の糸口すら掴めずにいます。圧倒的な検査と隔離により、市中での活動が安心・安全になれば、放っておいても経済活動は復活します。12兆円有れば金銭的には全く問題無いでしょう。皆さん、どう思われますか?   以上M君より

大変貴重な意見を聞かせて頂きました。M君、ありがとうございました。