「ツペロからニューオーリンズ

「ツペロからニューオーリンズ」
第4日、9月7日(月曜日)
アメリカは「レーバーデイ」の休日だ。「ツペロ」はメンフィスの東南、自動車で約2時間の小さな街だった。エルビスの生家に向かう前に、ツペロのダウンタウンにあるエルビスが8歳で初めてギターを買った「ツペロ・ハード・ウェアー・カンパニー」という店に行く。残念ながら休日で店は休みだった。田舎の何でも屋で金物ならば何でもあるという店だったらしい。ここで買ったギターが彼の進路を決めたと言っても過言ではないだろう。(写真 tupelo hard ware co.)

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いよいよ生家だ。兎に角みすぼらしい家だ。「ショットガン・ハウス」と言われているように、銃を撃ったら弾丸が家を突き抜ける程の小さな家なのだ。寝室とキッチンの二部屋のみ。電気も水道もない家だった。勿論トイレもない。(写真 house)
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そこで1935年にエルビスは双子の男の子として生まれたが片方の兄弟は死産だった。母親は神から授かった運命の男子だとエルビスのことを感じたという。子供時代の両親との写真は可愛い少年そのものだ。(写真 family photo)
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エルビスは母親の影響もあり教会に通うようになる。そして5歳で、教会で歌うこととなる。これが彼の才能の開花の第一歩だった。(写真 church at tupelo)
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13歳の時に、夜逃げするように一家はメンフィスに移住する。1948年だった。半年間は知り合いを訪ねての暮らし、半年後に漸く公営住宅に入れた。(写真 13years old Elvis)
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ここでメンフィスからご一緒した現地在住の日本人ガイドさんと別れる。彼女はこれからメンフィスにタクシーで帰るという。約100マイル(160km)のタクシー代が約2万円、飛行機だと約45分で45ドルだというが、彼女は8人乗り程度の小さなプロペラ機では嫌なのでタクシーにするという。タクシー代は安いが時間との損得勘定には個人差があるようだ。さて、エルビスの死後、彼の娘が遺産を得たが、エルビスの元の妻が利口で「グレースランド」を造り、娘に安定的な収入があるようにしたという。勿論彼の曲が世界中で聞かれれば当然印税は入るが、グレースランドの観光収入も凄いものだろう。42歳で亡くなったエルビス、今生きていれば80歳の老人だが、既に神格化してしまっている。白のステージ衣装にラインストーンが煌めき輝く舞台姿、正にハワイ公演時が38歳の彼の人生のピークだったのかも知れない。42歳の彼は既に太り過ぎの120kgにもなっていて、とてもファンの前に立てる姿ではなかったようだ。その為の減量薬が彼の命を奪ったのだという。42歳、天才歌手の余りにも短過ぎる人生の軌跡を辿る旅だった。それにしても惜しい限りだった。好きだったという「トーストにピーナッツバターをたっぷり塗り、チョコレート・スプレッドを更に塗ったバナナ・サンドイッチ」を朝に10個、そして昼は大好きな「ミートローフ」を食べるという栄養過多の生活が彼の命を奪ったのだろう。昼から「ニューオーリンズ」に向かう。ミシシッピー州から「ルイジアナ州」に入る。世界一長い橋を通る。(写真 bridge)
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「ニューオーリンズ」はミシシッピー川の河口の街だ。2005年の「ハリケーン・カトリーナ」で壊滅的な被害を受けたのは、皮肉にも低所得者が主に暮らす地域だったという。市内の80%が高潮で浸水したという。逃がられたのは、金持ちだけで貧困に苦しむ人たちは見捨てられた。日本でも伝えられたニュースだ。市内中心街の「フレンチ・クォーター」にあるホテルにチェックインして、ニューオーリンズの街に繰り出す。レストランでは「ツナ・ステーキ」を食べたが、量が多過ぎた(写真 tuna steak)
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その後生演奏のジャズをやっている「プリザベーションホール」という店にいく。一人15ドル、約1時間立ちっぱなしで待ち時間を入れるとほぼ2時間立ちっぱなしで流石に疲れた。トランペット、サックス、ピアノ、ドラムス、トロンボーンがそれぞれのパートを演奏する。演奏中は撮影禁止だった。(写真 jazz band)
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ジャズを聴きながら思った。ある一定のルールの中でそれぞれが独特の演奏をするのがジャズなのだろうか?別々の動き、演奏が実は巧みにミックスされ調和されて聴衆に届く。そこに歌声が挟まれる。正にジャズの極致なのだろう。「バーボン・ストリート」は店々から流れ出るジャズミュージックと独特の匂いが合わさり、多くのジャズファンだけでなく、旅行者を、そして地元の人を魅了しているのだろう。夜遅くまで喧噪が続いていた。ジャズ発祥の地「ニューオーリンズ」ならではの喧噪だった。(写真 bourbon street)
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