「人生は旅の如くNO20―2011年編第1話、7月のチュニジアにて」
いよいよアフリカ大陸だ。エジプトに続いて2度目の大陸上陸だ。ここは人生で一度は行きたかった場所だった。理由はカルタゴの遺跡だった。ご存じの通りカルタゴはローマ帝国に対立する形で地中海で向かい合っていた。そして2度に亙る戦争で唯一ローマまで侵入しかけた国なのだ。ジブラルタル海峡を渡りスペイン、フランスを経て、更にアルプスを象で超えてイタリアに侵入したのだ。その衝撃はローマ人にとっていかほどの物だったのだろうか?象でアルプス山脈を越えるという発想が凄い。しかしカルタゴもローマには勝てなかった。今遺跡ではローマ軍が放った火で焼け焦げた石垣が観える。こうして滅びたカルタゴに栄えてローマ。歴史はこれらの事実を今の我々も観ることが出来るのだ。
この時、女子サッカーワールドカップが開催されていた。その通り、なでしこジャパンが優勝した時だ。ホテルのロビーで我々ツアー客も観ていて大興奮した。
チュニジアには映画のロケ地もある。あの有名はスターウォーズだ。ほぼそのまま保存されている。
そして一番美しいのは「チュニジアン・ブルー」と呼ばれる濃紺の色をした屋根や扉だ。空は青く、家の壁は白く、屋根とドアは正にチュニジアン・ブルーが映えるのだ。砂漠にはオアシスがあり沢山の木々が生えていた。ここで初めてラクダに乗った。
早朝日の出を観に出掛ける。砂漠の朝は気持ちがいい。昼の朝が嘘のようだ。
なつめやし 山羊などが店先に並ぶ普通の街だ。空も海も全てがブルーだった。
「人生は旅の如くNO21―2011年編第2話、11月のロシアにて」
2011年は1月にタイ、4月に韓国、7月にチュニジアを訪れた。そして11月にロシアを訪れた。タイと韓国は既に訪れたので削除して、一挙にロシアに飛ぶ。当然モスクワからサンクトぺテルブルグへと向かう。正に古都だ。美術品や美しい宮殿の数々に刻まれたその歴史の深さに圧倒させられた。余りの数の多さにカメラの電源が無くなった。そんな時日本から連絡が入った。初孫が生まれたのだが、心臓に穴が開いていると言いうのだ。びっくり驚き慌てた。良く聞くと赤ん坊にはよくある話しで心臓の一部が未発達で大きくなれば穴は自然と塞がるというのだ。でも遠いロシアへそんなことを伝えられても、真意は伝わらない。不安な数日を過ごして帰国して初孫を観てほっと一安心したのを思い出した。でもツアーの最後は宇宙へと旅立つ英雄たちを称賛し鼓舞するものだった。
そしてクレムリンの赤の広場は共産ロシアの象徴そのままだった。もう一つ驚いたのが、「ダ―チャ」と呼ばれる郊外の別荘だ。訳せば別荘になるのだろうが、一般市民が持つ田舎の癒し場所とでも言おうか。ロシアにはロシア人にしか分からないものがあるのだろう。決して豊かではないロシアだが、そういった心持は豊かなのだろう。そこが日本人と違う処なのだろうか。
もう一つ観たかったのが、悪名を名高い「KGB」の建物だった。スパイ小説には必ず出て来る悪の総本山だった。
でも11月のモスクワは意外に暖かった。日本と変わらない気候に思わず笑みが。
最近プーチンはロシア人のGDPが日本と抜いたと言っているようだが、ある意味正しいかも知れない。だが決してロシアに住みたいとは思わないのでした。
兎に角巨大で画一的美を好む彼らとはやはり住む世界が違うのでした。