「癌闘病記―第24回」
{退院しました}
入院五日目(6日土曜日)
徐々に回復基調にあるようだが、相変わらず下痢気味だ。それでも食事が摂れるようになり、体力的には気分が良くなっている。ステロイドの点滴(60ml)のみになり時間も短くなり、それだけは助かった。後は一日も早く通常の食事に戻れるかだろう。
六日目(7日日曜日)
本日は都知事選挙の日だ。既に期日前投票を済ませているので見守るだけだ。体調は徐々にだが回復基調にある。便も通常の状態に戻りつつある。早く退院したいというのが本音だ。昨晩は猛烈な雷と豪雨だったが、病室内からの眺めは結構楽しめた。今日からステロイドは50mgに減らされた。少し進歩か?だが、逆に血糖値が大幅に上がった。これもステロイドの影響らしい。
七日目(8日月曜日)
どうやら下痢も収まり徐々に通常の食事に戻りつつある。しかし医師によると今後の治療方法が難しいという。今は2種類の点滴を打っていたが、その内のどの薬が下痢の原因が分からず、再度今後の方策を検討し直すという。頼むから今週中に退院させてくれよ。日曜には歌舞伎座が待っているのだ。團十郎の早替わりと宙乗りなのだから。
本日から食事はこれまでの五分粥から全粥になった。多少は腹に溜まるのだろうか?
医師と話し合いをして一応化学療法は来週から再開させるということで、退院は今週金曜日という予定になった。但し下痢の原因は2種類の点滴の一つが影響を与えているので今後は1種類とするが、正解かどうかは分らないという話しだった。50%の確率で再入院もあり得るということだ。賭け事みたいだな。賭けに弱い私に幸運が来るのだろうか?
八日目(9日火曜日)
本日からステロイドは40mgに減らされた。替わりに「燐」が不足しているということで粉末の燐を飲むことになった。何しろ退院するためには何でもやろう。体調は良くなった。食欲もあり回復基調にあると言えよう。頑張るぞ。午後から点滴の針が抜けた。これで点滴は終了だ。今後はステロイドは個体で飲むらしい。針が抜けることは大変助かる。動き易いし痒みが取れた。燐も通常の食事から摂取出来るのでなくなるのかと思っている。まずは一歩進歩だ。
九日目(10日水曜日)
医師から正式に金曜日退院を告げられた。一安心だ。ステロイドは錠剤になったし、点滴は外されたしほぼほぼ通常生活に戻りつつある。そしてステロイドの影響による血糖値の上昇に対応するために退院後もインスリンの投与を自分で行うことの練習をさせられた。退院後もある程度はインスリンの投与が必要になるとのことだ。逆に医師が心配しているのは低血糖で血糖値が低くなり過ぎた場合の危険も告げられた。退院後もまだまだ普通の生活には戻れそうにない。
十日目(11日木曜日)
ステロイドによる血糖値の上昇が激しい。朝方はそれでも200台だが、夜には400を超えることもある。下痢防止のステロイドと血糖値上昇のインスリンとのせめぎ合いか?体調は問題ないのだが、体内で何が起きているのやら。不可思議だ。
昼から燐の薬が中止になった。食事から通常の燐の量が摂取出来ているという。苦い塩っぽい薬だったので助かった。昼食からインスリンを自らが打つことになった。昨日習ったばかりなので簡単に注射することが出来た。それにしても腹が減る。食欲は充分だが、病院の管理下どうにもならない。2週間後の予約が決まり通院して消化器科、内分泌科、泌尿器科の受診を受けることになった。その間は毎食毎にインスリンを自分で打つ必要がある。まあ何とかなるだろう。
「十一日目12日金曜日」
いよいよ退院の日となった。待ち遠しかった。抗癌剤の副作用でステロイドの影響を抑えるためにもインスリンが必要な状態での退院なので完ぺきとは言い難いが、やむを得ない。
漸く自宅に帰りました。