「博多は暑かった」

台風一過の福岡は博多に降り立った私。熱風が吹き付けてきた。後で知ったことだが、「観測史上二位」の37.5度だったという。早速、小倉に移動して行き付けの鮨屋「もり田」へ行く。この店のご主人は家内がまだ子供の頃からの付き合いで、元々は「天寿司」という鮨屋さんの職人さんだったが、30年ほども前に独立して小倉ではちょっと有名な鮨屋になっていた。だから私も子供たちも長い間馴染みにしている店だ。店に行くとご主人のほかに若い男性が二人カウンターの向こうで働いていた。「息子さん?」と一人に尋ねると「そうです」とのこと。築地で修行をしていたが、五ヶ月前に戻ったという。親父さんが嬉しそうにしていた。「跡継ぎがいてよかったですね」と話しをした。聞くと築地場内の魚屋さんで修行して寿司ではなく魚の見方を勉強したと言う。それと人間関係をじっくりと学んだと言っていた。お客様に対する配慮の仕方も学んだと言う。さてその日は昼間だし直ぐに握ってもらった。「鮪のオオトロ」、「白身魚」、「ひかりもの」、「貝」、「うに」、「蛸」、「穴子」等々14貫食べた。その日一番だったのが「活き車海老」で握りのご飯の上でピクピクとまだ活きている車海老を頬張る。ぷりぷりとした食感が嬉しい。そのほかにも「太刀魚」はちょっと炙ってあり、じわっつと甘みが染み出てくる感じでこれも美味しい。この店の寿司は不味いものなでないのだが、聞いてみると最近は不況の影響は客足が落ちていて、余ったネタを持ち帰ってご飯の上にネタを乗せて「賄い飯」を食べているという。勿論ネタを翌日に廻すことなく、毎日使い捨てしているというから鮨屋さんも大変だ。この店、勿論カウンターの上のガラスケースには「氷」しか入っていない。ネタを干からびさせないために電気冷蔵庫にはしていない。一流の店では当たり前のことだ。その日は@8500円也でした。西鉄高速バスで博多に戻る。兎に角暑い。ちょっと風があったからまだよかったものの、茹蛸になりそうなくらいの暑さでした。

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