「都市の位置」

「都市の位置」
古代から中世、そして現代にかけての大都市の位置を観てみると、殆どの都市が内陸部にあることが分かる。特にヨーロッパではアテネとリスボン以外は殆ど全て内陸にある。ロンドン、パリ、ローマ、マドリッド、ベルリン、ワルシャワ等々だ。中国も勿論内陸都市が首都だった。比較的新しい米国もワシントンDCは内陸だ。何故が理由を私は知らない。多分当時の為政者たちにとって内陸にある必要性があったのだろう。統治するためには中心であれば東西南北への派兵も簡単だ。動き易いということもあったのだろう。勿論日本も奈良、京都も内陸だ。しかし徳川家康が築いた江戸は海辺の都市だった。でもこれは決定的に有利な条件にその後なったと私は考えている。海運が発達すると物流は陸上から海上へと移行した。その点で江戸は海運の利便性を生かせる都市になり、全国各地の物産が集積されることが出来た。同様のことは大坂にも当てはまる。日本は狭い列島だし、海に囲まれているとはいえ、初期の都市は奈良であり京都であり、内陸に構えていたことは事実だ。でも偶然にしても家康は与えられた江戸を近代の世界最大の都市にしたのは海を利用したのだと考えている。掘割を造り海辺を埋めて土地を増やし、海運による流通を重視したのは凄い発想だと思う。例えばローマはローマから街道を整備し即座に軍隊が移動できるシステムを構築した。逆に家康は江戸を中心として五街道を整備し、人の流れを促した。それにより商業も発達したし、参勤交代で江戸の文化が地方に齎された。でも江戸時代の物流はやはり海運が中心になっていたのだった。
古代文明の都市は川に沿っていた。また中世以降の都市も川に面していた。川は水があり、これは全ての生き物に必須のものだ。それが大航海時代を経て海の利便性が理解され、都市が変化していったのだろう。
21世紀の都市に必要な要素な何なのか?ひょっとすると川も海も必要なく、空港があればいいということなのだろうか?