第七日目(9月22日)「ヴェネツィアーベローナーミラノ」
「ヴェローナ」
「ロミオとジュリエット」で有名な「ヴェローナ」が今日の目玉だ。イタリアと言えば「フットボール」所謂「サッカー」だが、1990年に地元の人に聞いたら、勿論一番はサッカーだが、ラグビーもスキーも人気だという。当時ヴェローナでは大歓迎を受けた。「海鮮物の前菜」から始まって「肉」「魚」が出て、とめどなく料理が続く。午後8時から12時までたっぷり4時間食べて飲んで、久し振りに満腹、堪能した。その時覚えたのが食後酒の「グラッパ」だった。さてイタリアも「離婚」が認められるようになったらしい。カソリックの国だが徐々に変化しているのだろう。その為、煩わしい離婚協議を避けるために事実婚で同棲が増えているようだ。「ジュリエットの家」というところの庭には沢山の観光客が訪れていた。人気スポットだ。ジュリエットの像があり、そこで人々が記念写真を撮っている。ジュリエットの像の右の乳房に皆が触るから、そこの部分だけ金色に光っていた。庭に面した店で土産物を買って外に出たら白人の男性が写真を撮ってくれという。勿論快諾したが、その男性、写真の列に並びながら、順番が来ると後ろの人に順番を譲っているのだ。これはおかしいと思った私はまず身の回りをチェックし、早く撮影ポイントに立つように促した。多分私が土産を買い終えて財布をしまったのを見て、「鴨だ」と思ったのだろう。だからもう一人の人が私に寄ってきて財布を奪う算段だったのだろう。甘く観るなよ。こちとら経験豊富だからそんな程度のことでは騙されない。ぼんやりしていたら財布を擦られていたかもしれないが、そんな技は通用しない。だから狙いは私の気をそらすように時間稼ぎし、捕り手がポジションに着くのを待っていたのだろう。そんな手が通用すると思っているのか!だって皆が並んでいるのに後ろの人に譲るということ自体可笑しいだろう。空気が読めていない泥棒たちでした。その庭に面したバルコニーからジュリエットが愛を告白したというのだが、白々しい庭でした。実は一昨年6月に初めて「3S会」でスイス旅行をした時にジュネーブで同様な事件に遭遇したのだった。この経験が役に立った。それはジュネーブで市内観光のバスを待っている時のことだった。私が一人待合所に残り椅子に座っていた。他の二人は周囲を見物に出掛けた。その際、二人はリュックを私の左側の椅子に置いて出ていった。私は窓際の席で右側がガラスで、椅子の間に自分のリュックを置いていた。するとガラスの向こう側からサングラスをかけたスーツ姿のちょっと太った男性がガラスをノックし、私の視線を遠くに向けようとして指を指しているのだ。何だろう?と思っていると仲間の荷物をひったくって行くのが目の端に見えた。慌てて大声で怒鳴り追いかけた。すると泥棒は荷物を捨てて逃げ去った。二人の連係プレーなのだ。私の気をそらす奴、盗む奴。まあ事故なく過ごせてよかったが、こういった旅先での経験が私の感性を磨いていたのだろう。
帰国して写真を整理していたら、ジュリエットの像の写真の中から例の男が映っていた写真が見つかった。ということはあそこでいつも鴨を探していると言うことの証拠だろう。