「牛タン」

「手前勝手世界食物語、第354号」
「杜の都 太助の牛タン」
久し振りに牛タンを食べた。チェーン店でもある「杜の都 太助」の「牛タン(味噌味)1.5人前定食」@2300円だったが、期待外れだった。実はこの店、元々は仙台で戦後初めて牛タンを焼いて食べさせた老舗の「太助」から分かれた店なのだ。仙台時代を含めて本店というか、仙台の「太助」には何度も行っているが、今から30年ー20年位前までは「牛タン」といえば仙台では「太助」だった。今はその座を「利久」に譲っている。元々「太助」の牛タンは厚み(約1cm以上)があり、且つ柔らかで、テールスープと麦飯がよく合っていた。本当に柔らかで驚かされたものだった。勿論今の「利久」も素晴らしい味だ。仙台駅には「牛タン通り」というのがあり、そこには利休も出店しているし、東京駅「駅ナカ」にも出店している。さて、「杜の都 太助」は実は仙台の太助の実の姉が経営しているはずだ。数年前に仙台の太助に行った時に経営者が(実は経営者は父親の後を継いだ息子さんで店で牛タンを自分自ら焼いているのだが)がそう言っていて「姉のやっているあの太助とは違いますから」と強調していた。杜の都の牛タンは薄く(5mm程度)硬く本来の牛タンの美味しさがなかった。これがやはりチェーン店化したことの結果なのだろう。仙台の本店が拡大路線を図らなかったのは、品質というものを第一義に考え、客に対する姿勢を崩したくないからだと言っていたが、確かにそうだと思った。チェーン店になればどんなことをしても供給しなければならないので、品質が劣る場合があったとしても供給を止められない。さてこの問題はお客の判断に任せよう。
以上、勢古口が食欲の秋の東京からお送りしました。

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