「茂木家美術館の北斎名品展」第9弾

「茂木家美術館の北斎名品展」第9弾
北斎親子。(写真:H1)H1
出典は「HOKUSAI MASTERPIECES OF ART」より

引き続き北斎の「諸国瀧廻り」シリーズをお送りします。

「諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの瀧」(写真:H2)H2
日光市男体山の麓にある瀧だ。2段に分かれて落下する姿が特徴的で、日光東照宮への参拝の途中にありおおっくの人が訪れた。本図には滝を見下ろす旅人と、見上げる旅人が描かれており、鑑賞者に二つの視点を意識させる。いくえにも分かれて岩間を流れ落ちる御簾の表現は、滝というよりも一つの巨大な生き物のようで、シリーズ中でもインパクトを持ち、この表現は渓斎英泉(けいさいえいせん)など後の浮世絵師にも受け継がれた。

「諸国瀧廻り 東都葵ケ岡の瀧」(写真:H3)H3
この滝は現在の港区虎ノ門にあった。溜池の堰から溢れ出した水が滝となり、その水音から「どんどん」と呼ばれ親しまれた。暑い夏の日だったのか、画面手前には天秤棒を下して汗をぬぐいながら一休みする人も描かれている。滝の白く描かれている部分は、夏の日の光を反射して光る滝の表情を描き出したと思われる。

「諸国瀧廻り 相州大山ろうべんの瀧」(写真:H4)H4

「諸国瀧廻り 木曽路ノ奥阿弥陀ケ瀧」(写真:H5)H5
現在の岐阜県郡上市にある。上部に丸く描かれた滝口からは、勢いよく落下する水の流れが表されているが、滝の部分には、揺らめくような波紋が描かれている。1カ所からこのような滝を観ることは出来ないので、滝の流れは正面から捉えたと考えられ、シリーズ中でも珍しい表現方法をとっている。滝の側には茣蓙を広げ、弁当箱を前に楽しそうに語らう男たちが描かれている。

「諸国瀧廻り 木曽海道小野ノ瀑布」(写真:H6)H6

「諸国瀧廻り 美濃ノ国養老の瀧」(写真:H6)H7

このシリーズは8種8瀧となっている。