「ある画家の個展」

J  REPORT2018年 6月第4週」
「リタイアメント・ノート 9年12ヶ月目」
「VOL.1060号 SINCE AUG.12th、1983」
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「ある画家の個展」
中学からの友人であるK君の奥様が個展を開かれるということで初日に会場にお伺いした。美術大学卒ということで、これまでも何度か「新世紀展」に出品された折に鑑賞に伺った。今回はある意味集大成のようで、お聞きすると描いた絵で倉庫も満杯になったので、これを契機に処分する予定だという。まあもったいないと思うが、何しろ大きな絵画ばかりだから、保管するのも大変だろう。奥様の作品は非常に幻想的な絵画で色彩も女性らしく美しい。こんな趣味をお持ちの方は素晴らしいと思う。幾つかをご紹介しよう。
(写真:K2)K2
(写真:K3)K3
(写真:K4)K4
(写真:K5)K5
(写真:K6)K6
(写真:K7)K7
(写真:K8)K8
(写真:K1)K1
この絵は昨年の新世紀展に出品された作品だ。何時間も何日も何ヶ月も掛かって描かれた絵画、その努力に感服させられた。

「国立西洋美術館・常設展Ⅱ」
旧松方コレクションも火災や戦争の影響を受け、かなりのものが失われたり没収されたりしていたようだ。フランスにあったコレクションの一部は敵国財産としてフランス政府に没収されてもいる。また、欧州で購入したものの、日本国内に運ぶ前に何らかの理由で自らが手放したのが数点あるという。国内に運んだ作品は約1400点。このうち、経済的な理由で銀行に担保として取られた物や知り合い(岩崎家や住友家など)に売却したものがある。また、フランス政府からその後返還されたもの(390点)もある。いずれにしても今になれば実に貴重な作品群となっている。美術館自体はサンフランシスコ平和条約締結後、フランス政府との間で返還交渉が始まり、その条件として寄贈する美術館にフランスの名前をつけるようにとのことだった。当初は「フランス美術館」という名称だったが、最終的に「国立西洋美術館―フランス美術松方コレクション」となった。1953年に設置準備委員会が出来、55年にはフランス人建築家「ル・コルビュジエ」が来日し設計が行われた。工事の起工式は1958年3月で完成が翌年3月末、作品の到着が4月22日、開館が6月10日と超スピーディーなスケジュールだったことが分かる。ユネスコにはフランス政府によって「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」として7カ国17遺産が世界文化遺産に2016年7月に登録された。
では作品を二つ後紹介しよう。
「猟の獲物と野菜のある静物」(アドリアーン・ファン・ユトレヒト、1648)(写真:B3)B3
死んだ動物たちはまるで標本のごとく念入りに観察され、細部に至るまで克明に描かれている。カンバス全体を覆うのは、画家が好んだ暗い褐色系の色調だ。装飾性の強い画面を志向した同時代の画家とはやや異なる性格をこの作品に与えていると解説されていた。
次が、「村の結婚式」(ヤン・ステーン)B4
作者は1626年ドイツのレイデンで生まれた。彼の作品は約800点あるといわれているが、結婚を主題にしたものだけで50点あるという。この場面には男女合わせて51人の人が描かれている。ステーンは正にこのような風俗場面の中にある人物たちの多彩な心理や行動を見つめる視線において優れた画家であった。
参考資料「MASTERPIERCES The National Museum of WEster Art,Tokyo」編集:国立西洋美術館(写真:マスターピーセス)本マスターピース