「国立西洋美術館・常設展Ⅰ」

J  REPORT2018年 6月第2週」
「リタイアメント・ノート 9年12ヶ月目」
「VOL.1058号 SINCE AUG.12th、1983」
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「国立西洋美術館・常設展よりⅠ」
上野の国立西洋美術館、常設展の基本は旧松方コレクションを中心に展示されている。1916年から27年にかけて松方幸次郎が集めたもの、絵画196点を含めて370点だが、彼が個人的に集めた約2000点の一部が寄贈されたものだ。彼は当時川崎造船ほかいくつもの会社を経営していた。そして第一次世界大戦でストックボートと呼ばれた船舶を売って得た多額の資金で美術品を買い求めたという。その後の変遷は別途語ろう。私はこの美術館を学ぶために「マスターピーセス」という本を買って読んでいる。後々お話しすることにして、今回はその作品群の一部をご紹介する。
最初は「アブラハムとイサクのいる森林風景」。ヤン・ブリューゲル(父)の作品だ。(写真:B1)B1
好きな画家の一人であるブリューゲル工房で1599年に描かれたという。関が原の丁度一年前だ。旧約聖書にある神がアブラハムの信仰の強さを試すために、息子のイサクを生贄にするように命じたことを描いている。アブラハムは馬に乗り、何も知らないイサクは自らを焼くための薪を抱えている。薄暗い森の中、周囲では樵たちが忙しく働き、空には鳥が飛び、木々の間には鹿もいる風景だ。
次は「十字架のキリスト」、エル・グレコ(1541-1614)作。(写真:B2)B2
彼はギリシャ生まれでスペインで活躍した。ヴェネツィアで西欧絵画の技巧を学び、ローマを経てスペインのトレドに達して、30年以上に亘り制作に没頭した。彼は十字架のキリストを沢山描いている。引き伸ばされた人体や超自然的な色彩による独特の表現が特徴だ。こうして彼は今では16世紀の美術理論に立脚した「哲人画家」の創造であると認められている。
ご存知の通り、美術館の建物は「ル・コルビジエの設計によるもので。ユネスコの世界遺産群にも登録されている。おいおいと絵画を見ながら、松方コレクションの変遷を見てゆこう。