「吉例顔見世大歌舞伎観劇記」

「吉例顔見世大歌舞伎観劇記」
歌舞伎の新年は十一月から始まる。だから「顔見世興行」なのだ。(写真:A18)
興行主と歌舞伎役者との契約は十一月からとなっていて、十一月は一般人の正月だと思えばよい。

今月の演目は「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」。
印度と言う国名は「ヒンドゥー教」のヒンドゥーがインドとなったという。
ヒンドゥー教は仏教よりかなり古い宗教で今では印度人の80%が教徒だという。シーク教徒や仏教徒、イスラム教徒にキリスト教徒と多数の宗教が混在しているのがインドだという。
題名の「マハ―」とは「偉大な」で、「バラタ」は「バラタ族」の意味だという。即ち「偉大なバラタ族」の物語である古代インドの神話的叙事詩なのだ。
古代インドにある神々の世界から神々が人間界を見下ろし、争いを繰り返す人間たちを嘆く。そこで太陽神は、象の国の美しき姫「汲手(くんてい)」に子を授け、その子「かるな」(菊之助)を平和をもたらす救世主として送り出した。しかし姫はその子をガンジス川に流してしまう。一方、いくさの神である「帝釈天」は姫に5人の息子を授け、戦いで国を統一させようとした。
こうして平和か戦いか、神々の代理戦争が地上で起こる。(写真:A17)
「かるな」は車引きの夫婦に拾われ育てられ、やがて異父兄弟同士の戦いが始まるのだった。
この戦いの場面は迫力もあり、ベンハー並みの戦車も出て面白かった。さあ結末は?
この演目は菊之助が6年振りに演ずるものだというが、菊五郎、菊之助、丑之助の親子三代の共演にも注目が集まる。