「秀山祭九月大歌舞伎観劇記」

「秀山祭九月大歌舞伎」観劇記(写真:K11)
「二世中村吉右衛門三回忌追善」(写真:K4)
(写真:K2)
(写真:K3)
「祇園祭礼信仰記」「金閣寺」(写真:K5)
本来は織田信長の人生を描いた作品五段の内の五段目が「金閣寺」だ。「信仰記」とあるのは「信長」のことを示す。
内容は戦国時代、天下を望む松永大膳(演じるは人間国宝の中村歌六)は足利将軍を倒し将軍の母・慶寿院尼を金閣寺に幽閉し、思いを寄せる雪姫(中村児太郎)に意に従うように迫る。そこに現れたのが信長の家臣・此下東吉(木下藤吉郎のこと、中村勘九郎)は信長を裏切り大膳に奉公を願うと言う。実は大膳は雪姫の父を殺した人物で姫にとっては仇であり、大膳は姫を桜の木に縛るが奇跡が起きる。というのも雪姫の祖父は絵師の雪舟であり、孫娘雪姫は自らが流す涙で鼠を描くと、鼠が実際に現れ縛っていた縄を噛み切り姫は自由になり、敵討ちを東吉を共に行うという桜の吹雪の中での実に美しい舞台だ。特に1750年代の江戸時代に金閣寺の二階建ての建物が舞台下にめり込むというような大胆な演出が話題を呼んだという。

昼食時の客席、ほぼ満席でした。(写真:K1)

「土蜘」新古演劇十種の内(一世吉右衛門・音羽屋が市川家成田屋の歌舞伎十八番に対抗して家の得意芸としたもの)(写真:K9)
土蜘はお能に基づいた作品。病気療養中の源頼光(又五郎)の元へ平癒を願い薬を届けるとして叡山の僧(幸四郎)が現れるが実はこれが土蜘蛛だった。豪華絢爛の舞踊劇。

「二條城の清正」秀山十種の内
「淀川御座船の場」(写真:K8)
家康に呼ばれ19歳の豊臣秀頼(染五郎)は大坂城を出て京都二条城に赴く。家康に暗殺されるかも知れず、豊臣恩顧の大名加藤清正(松本白鷗)は病体を押して付き従い、一命を掛けても秀頼を守ると誓う。無事対面を終えて大坂に戻る船の上での物語。清正の溢れる愛情がしんみりとさせる。祖父と孫の共演だ。史実はこの物語の3か月後に清正は50歳で死ぬ。
(写真:K7)