「手前勝手世界食物語、第328」
このコーナーを始めた理由は、私の食べ物の好みで判断した味を知ってもらおうということだった。だから題名も「手前勝手」としたし、「世界食物語」としたのは世界中の食べ物を食べてみようという思いからだった。手前勝手だから私の舌で感じたままを文字にしたのであって、他の人の感想がどうあろうと構わない。
「幸楽園の鰻」
浦和の小高い丘の上のその店はあった。有名な「小島屋」の近くなのだが、聞くとそこは鎌倉時代に砦のあった場所で丘の下は湿地や沼地になっていて昔から「鰻、鯉」等が獲れたところだそうだ。そんな丘の上に老舗の鰻屋「幸楽園」はあった。沈みゆく夕陽を見ながら、まずは「鯉の洗い」、次が「鯰の天麩羅」、「鯉こく」、最後が「鰻重」だ。鰻は二段重ねとなっており、その量は半端ではない。鰻は関東風に一度蒸してからタレをつけて焼くから香ばしく柔らかく焼きあがっていて、大変美味しかった。東京では南千住の「尾花」が馴染みの店だが、この幸楽園さんの鰻も流石でした。
以上、勢古口が東京からお送りしました。