「茂木家美術館の北斎名品展」第13弾

「茂木家美術館の北斎名品展」第13弾
北斎親子。(写真:H1)H1

出典は「HOKUSAI MASTERPIECES OF ART」より

葛飾北斎の「北斎さまざま」シリーズ第2段をお送りします。

「木曽路名所一覧」(写真:H2-1)H2-1
木曽路とその周辺の名所を、鳥瞰図法を用いて一図に纏めたもの。左下に起点の江戸を置き、右に浅間山、その左に甲府城下、さらにその左に諏訪湖、そして琵琶湖、終点の京都といった具合に、実際の地形よりもかなりデフォルメしており、地図というよりも双六の趣がある。米粒に雀を二羽描いたという逸話が残る北斎ならではの微細さといえる。
「木曽路名所一覧」(写真:H2-2)H2-2
その一部を拡大したもの。

「江都両国橋夕涼花火之図」(写真:H3)H3
両国橋の両側のたもとには、明暦の大火(1657)以降、広小路と呼ばれる火除地が設けられ、見世物や食べ物屋などの仮設の見世が建ち、江戸有数の盛り場となった。特に夏の川開きの期間の両国橋の賑わいを描写している。本作品は北斎が春郎と名乗っていた天明年間に出版された「新板浮世絵両国夕涼花火見物之図」の後摺であり、初摺とは色や花火の描写が異なり、より賑やかな雰囲気となっている。

「百人一首うはかいゑと起 持統天皇」(写真:H4)H4
「百人一首乳母がゑとき」は、北斎最後の大判錦絵シリーズで、乳母が子どもに百人一首を分かり易く絵解きするという意味が込められた名だ。現在28図が刊行済みのものとして確認されている。本図は持統天皇の「春過ぎて夏にけらししろたえの 衣干すてふ天の香具山」を主題としている。歌の「白妙の衣干」に発想を得たのか白い布を運ぶ女や、干された白い布が描かれている。

「両国夕涼」(写真:H5)H5
本図は墨田区の対岸、現在の東日本橋辺りから両国橋を臨んだ情景で、手前に花火を眺める母と子が美しい彩りで、画面の左奥に両国橋、中央に一之橋がシルエットで表されている。ほっそりとした女性たちは宋理期ならではの特徴を示している。本図を含む十数枚からなるこの錦絵シリーズは、綿密な筆致と淡い色調から「摺物風名所絵」と呼ばれており、北斎壮年期の摺物および狂歌絵本の分野での人気から企画したものと考えられる。

「不弐之峯」(写真:H6)H6
富士山を背景に、煙管を咥えながら馬の背に乗る馬方や、白い巡礼の衣装を着た旅人たち、子供を背負った農婦といった、街道を行き交う人々が描かれている。「両国夕涼」と同じく「摺物風名物絵」と呼ばれる錦絵シリーズの1図だ。

以上「北斎さまざま」の内の5作でした。