「国立西洋美術館・常設展松方コレクションより Ⅶ」

「国立西洋美術館・常設展松方コレクションより Ⅶ」
久しぶりに上野の美術館を訪れた。常設展会場の入口にテレビが置かれていて、展示物についての解説ビデオが流されている。約1時間強だが、これは一度観ておいたほうがいい。実物を観た後でも前でも非常に参考になる。解説も分かり易い。お勧めです。ロダンの有名な「考える人」は彼と妻の墓標として製作されたということを知った。
美術館の庭にはロダンの「地獄の扉」がある。(写真:地獄の扉)地獄の扉
それでは作品紹介をしよう。

「海辺に立つブルターニュの少女たち」(写真:B14)B14
ポール・ゴーガン作、1889年。
ゴーガンは1889年の大半をブルターニュで過ごしている。「今年良く描いたものと言えば、雌牛を連れて海辺をぶらつく素朴な農家の子供たちだ。私はこれらの侘しい人物像に野生を吹き込もうとしている。それは彼らの中に感じられるものであり、私自身の中にあるものだ。ここではすべてがブルトン語のように武骨で、堅く閉ざされている。おそらく永久にこのままなのだ」。という手紙をゴッホ宛に書いている。
乾いた荒野に生え、触れようとする者を棘で傷つけるあざみの花は、ゴーガンがブルターニュの少女たちの中に認めた野生の象徴なのであろう。

「ばら」(写真:B15)B15
フィンセント・ファン・ゴッホ作、1889年。
アルルでのゴーガンとの共同生活が1888年に破綻して以来、ゴッホは何度かてんかんの発作に襲われ、1889年5月上旬に自分の意志でサン=レミの療養院に移る。外出禁止を言い渡され、荒れた病院の庭で写生を行った。「木蔦に覆われた地面、石のベンチ、涼しい日陰に咲く淡い色のばらの茂み」と記している。荒れた庭の片隅に咲くばらの花は、新しい環境のもとで病からの回復を願っているゴッホに安らぎを与えたに違いない。

参考資料「MASTERPIERCES The National Museum of Western Art, Tokyo」編集:国立西洋美術館
絵の注釈は全て同上の本から抜粋しています。