「S先輩の死」

「S先輩の死」
S先輩、あだ名は「金太」さん。享年77歳。私は彼から初めてフットボールを習った。高校一年生で直ぐにフットボール部に入部した。その時大学生のコーチとして毎日グラウンドに来てフットボールを教えてくれた。彼がいなかったら、私が高校大学と7年間もフットボールをやらなかったかもしれない。
高校一年の夏、シーズンオフにやるべきことを具体的に細かく指示する手紙を貰った。部員一人ひとりに宛ててだ。そこには実に細かく長所と欠点が書かれていて、オフの間にやるべきことが指示してあった。あの手紙は今はないが、あれば宝物だと思う。あの手紙を見て私はフットボールを続けようと決心した。
その後先輩は大手銀行に就職して、企業内のフットボール部を作り、監督となった。あだ名の金太は多分彼の雰囲気がおおらかで、はち切れそうな笑顔と丸く大きな眼、そして優しい童顔が金太郎に似ていたからではないだろうか。
そんな先輩が逝った。最後は肺がんだったというが、16年前に脳梗塞を患い、病と闘いながらの半生だったらしいが、奥様のお言葉で「幸せな人生を歩んだ」と結ばれたのが印象的だった。(写真:S先輩)S先輩
金太さん、ご冥福をお祈り申し上げます。一人の後輩より。