「壽初春大歌舞伎観劇記」

「壽初春大歌舞伎観劇記」
第二部を観劇しました。今月から全ての席が解放されました。(写真:K1)
また大向こうからの掛け声も解禁されました。(写真:K2)
それとチケットが名前入りになりました。(写真:K3)
転売禁止のためだそうです。
繭玉が飾られていました。(写真:K4)
(写真:K5)

「壽恵方曽我」
江戸歌舞伎の正月の出し物はまず「曽我物語」。敵討ちを題材にした所謂ヒーロー物で初春を飾った出し物だった。荒事のヒーローだ。今年の恵方は南南西。
兄弟が幼い頃、父の川津三郎助一が馬上で矢に射られて殺された。犯人は領土問題で揉めていた工藤祐経。一方未亡人となった母は再婚し曽我氏となる。従って兄弟も曽我と名乗る。
その17年後の正月の工藤屋敷。万歳に化けて屋敷に入った曽我兄弟は兄が千鳥の紋、弟が蝶々の紋の服を着て舞う。しかし、工藤祐経にばれてしまい敵討ちはその場では出来ない。だが、工藤は冨士の裾野の巻き狩りへの入場の割符を兄弟に与える。これは事実上の敵討ちを認めたことだった。

「人間万事金世中(かねのよのなか)」(写真:K6)
20年振りの公演だそうだ。時代背景は明治十年頃の東京。髷が禁止になり散切り頭の男性たちの時代。女性陣の丸髷は大正時代まで続く。
原作はイギリスの戯作者「エドワード・リットン」の「MONEY」だ。それを河竹黙阿弥が歌舞伎に仕立てた。世の中万事塞翁が馬ならぬお金の世界という訳だ。
幼く母を亡くした恵府林之介は父が相場に失敗し破産し、やむなく江戸の叔父「辺見」の家で丁稚奉公していた。ところが長崎の親戚が亡くなり遺産が突然舞い込むことになった。その額何と2万円。実に今の金額で4億円。叔父は娘を林之介に嫁がせようとするが、断る林之助。そして林之介は新しい店をオープンするが、そこへ林之介の父親の債権者が現れ2万円の返済を求める。やむなく返済する林之介。結局元の木阿弥のからっ穴になった林之介。しかし、これには裏があった。まあ、面白い作品でした。