「山形へ蕎麦食いの旅」

第四日目
山形新幹線に乗って山形に向う。これを「新幹線」と呼ぶのもおこがましい。これは決して新幹線ではない。在来線の特急だ。スピードも普通の速さだし、何しろくねくね、のろのろと走るので新幹線と呼ばれては哀しい。山形駅は涼しささえ感じる気温だった。恐らく20度くらいではないだろうか?駅にはたくさんの「さくらんぼ」が売られていた。季節の果実だ。さて、山形駅から10分ほど歩いて「庄司屋」という蕎麦屋に行く。「天保そば」という蕎麦があった。聞いてみると江戸時代の「天保年間(1830年代)」、この地方を大飢饉が襲ったという。その時に一軒の農家が後世のために「蕎麦の実」を米俵一杯屋根裏に残していたという。それが偶然発見され、色々と研究の結果、発芽し、昔の蕎麦の味が楽しめるようになったという。期間限定で天保蕎麦が食べられるというので早速「板そば」を注文した。しこしことした感じの素朴な蕎麦の味だ。これが昔の蕎麦かと感動した。腰もあり、咽喉越しもまあまあだ。板そばというのは、大きな板製の平らな箱の上に蕎麦が薄く敷かれて載せられている山形地方独特のものだ。@1800円なのでまあ二人前食べると思えば分かり易いだろう。美味い蕎麦を食べて初めて不味いものが分かる。色々と食べ歩きしながら思うことは、やはり本当に美味しい物を食べることこそが、その道を極めることになるということを。帰りの新幹線の中から眺めると、「蔵王」山麓は雲に隠れて上の方は見えないが、濃い緑色が目に優しい。空は曇りでまだまだこの地方は「梅雨明け」していない。地方に行くと、日本は「山と森林」の国だと思う。国土の65%は山林なのだから、都会にいると忘れがちな空気に触れることが出来る。ほっとするのもいいものだ。その日は夜には東京に戻り、銀座で大学時代のフットボール仲間と飲んだが、盛況でした。ちょっと飲み過ぎでダウンしています。
以上、旅する勢古口が酷暑の東京からお送りしました。

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