「十二月大歌舞伎」

「十二月大歌舞伎」昼の部(写真:K1)
「市川海老蔵改め 十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」(写真:K2)
歌舞伎十八番から3つの題目を選んだ公演だ。歌舞伎十八番とはご存じの通り、七代目團十郎が初代から好評だった演目から十八題を選び市川宗家のお家芸としたもの。
(写真:K4)

「鞘當」(さやあて)
武士の刀の鞘が触れることをいい、喧嘩の元となった。桜満開の吉原で雲に稲妻模様の着物の不破伴佐衛門(松緑)と、雨に濡れ燕模様の着物の名古屋山三(幸四郎)がすれ違う際に鞘当て、切り合いとなる。

「京鹿子娘二人道成寺」
道成寺は紀州最古の寺で、「安珍清姫」のお話しの舞台となった寺。僧侶の安珍に惚れた清姫は安珍を追うが、安珍は寺の釣り鐘に隠れる。そうとしった清姫は蛇となり釣り鐘にとぐろを巻き、安珍を焼き殺したという。
時代は変わり今、寺では新しい釣り鐘の鐘供養が行われていた。本来女人禁制の境内に二人の白拍子(勘九郎、菊之助)が現れ奉納の舞を踊る。実はこれらの白拍子は清姫の亡霊だった。そこへ勇猛果敢な豪傑「大館佐馬五郎(團十郎)」が現れ荒事となる。そして蛇になった清姫の亡霊を「押戻」で退散させるというもの。実はこの押戻が歌舞伎十八番なのだ。團十郎の登場はほんの10分にも満たなかった。

「毛抜」
小野小町の子孫「春道(梅玉)」の屋敷では日照り続きのために雨乞いをしようとした帝から小町の短冊を出すように求められる。しかし短冊がなくなっていた。またこの家の姫君錦(廣松)は不思議な病に掛かっていた。姫の許嫁の家臣粂寺弾正(新之助)がやってくる。そこで弾正は毛抜きを使うと不思議、毛抜きは舞い上がる。姫の髪の毛も舞い上がるという。しかし銀製のキセルは舞い上がらない。弾正はその理由を見抜き、天上裏に何者かが潜み磁石を使っていることを突き止める。
私の感想、9歳の新之助君は声も子供の声で甲高く音量も少なく、また早口過ぎてセリフの半分も聞き取れなかった。まだまだこれからの役者だ。練習と経験を沢山積む必要があると感じた。まあ、将来性を見込んで長い目で見てあげよう。
市川家の家紋「三囲」四角が三つある紋(写真:K5)
牡丹の花をあしらったもの(写真:K6)