「寿初春歌舞伎公演観劇記」

「寿初春歌舞伎・観劇記」(写真:K2)
1月の歌舞伎座、地下一階の売店も結構混んでいた。当日は冷たい雨が降りしきっていた。(写真:K1)
(写真:K6)

「當辰歳歌舞伎賑 五人三番叟 英獅子」
正月縁起物の三番叟を若手五人で舞う。(写真:K7)
(写真:K8)
(写真:K9)

「荒川十太夫」
講談師神田松鯉(人間国宝)の口演より
「赤穂浪士外伝の内」
討ち入り後四十七士は4家に分散して預けられる。伊予松山松平藩では大石力を始めとした浪士たちがいた。その七回忌の泉岳寺前。二人の下男を連れた荒川十太夫(松緑)は門前で目付役の杉谷に咎められる。下級の徒士侍でしかない十太夫が身分不相応の姿でいたのだった。武士の身分を偽るのはご法度だった。
その夜、藩邸に呼び出された十太夫は藩主(坂東亀蔵)直々に取り調べられる。そこで語られたことは。
実は文武に優れた十太夫は堀部保兵衛(中車)の介錯を務めたのだった。切腹の直前保兵衛は十太夫に己の身分を問うた。保兵衛は200石持ち、一方の十太夫は下級武士。つり合いが取れないために十太夫は身分を偽り大番役と伝えた。その後七回忌まで毎年毎月命日には墓参りを欠かさなかった十太夫の苦悩を描く人情物。感動した藩主は彼を出世させたという新作歌舞伎だった。感動作でした。(写真:K11)
十二月に演じられた「俵星玄蕃」同様、忠臣蔵外伝なのだが、主題は「義に生きる」だ。

「江戸みやげ 狐狸狐狸ばなし」
浅草田んぼで手拭い染物屋を営む伊之助(幸四郎)とその女房・おきわ(尾上右近)、おきわと密通している坊主の重善(錦之助)、それに雇人の又市(染五郎)が絡み、騙し騙され殺し殺し合いするというもの。最後の落ちが面白い。

正月の気分で浮き立つ歌舞伎座からでした。(写真:K10)